港にて
07/03/2008 (Thu)
海辺にはすぐにでも行ける
海辺の街にはどこにでも港があり
わたしは港をぶらっと訪ねるのが好きだ
「出口の貌」を見せる港
今日も貨物船は停泊し
くすんだ艦首の原色の塗料は
老いさらばえた獣の横顔のようでもある
だらんとした鬣
凪いだ海
凪いだ海の虹色のオイルの曖昧さ
その「出口」じゃないんだよ
入り口ならいくつもあって
わたしはそのうちのどれかひとつの港から上陸したのだが
足の裏の白いタイル……
記憶はきわめて曖昧で
そんなことは別にどうでもよくて
ここにこうしているしかないという真実だけが重要で
真実といっても「帽子の霧」とともにあり……
製粉工場の銀色のタンクは
遍満たる陽を浴びている
海辺の街にはどこにでも港があり
わたしは港をぶらっと訪ねるのが好きだ
「出口の貌」を見せる港
今日も貨物船は停泊し
くすんだ艦首の原色の塗料は
老いさらばえた獣の横顔のようでもある
だらんとした鬣
凪いだ海
凪いだ海の虹色のオイルの曖昧さ
その「出口」じゃないんだよ
入り口ならいくつもあって
わたしはそのうちのどれかひとつの港から上陸したのだが
足の裏の白いタイル……
記憶はきわめて曖昧で
そんなことは別にどうでもよくて
ここにこうしているしかないという真実だけが重要で
真実といっても「帽子の霧」とともにあり……
製粉工場の銀色のタンクは
遍満たる陽を浴びている
夜の街で
06/30/2008 (Mon)
灯りの色の混じる夜
人通りの多い橋を渡り終え
さらにつづく下り坂をせかされるように歩くと
流れをさえぎるようにあの女
十年以上前には頻繁にあっていたあの女が
誰かを待ち受けるように
人の流れをさえぎって流れの中に立っていた
女の目はあやしく見開かれた
私を発見したことによって見開かれるのを
私はうごきかけた追慕の情とともに見守った
女の腕が何らかの動作をしたのかわからない
鞄の中から何かを取り出そうとしてあわてて途中でやめたのか
鞄などは持っていなかったが
急に女の目は私のうしろから近づきつつあった存在に移った
夜目にも青年とわかるその人の腕をさわると
女は安心したようにその人を連れて行った
窓灯りがちらほら無秩序に点る
向こう岸にそびえるような大きなマンションの
こちらには斜めに背を向けたエントランスに消えた
もはや私のことなど忘れ去ったのだろう
安心して忘れ去ったのだろう
人通りの多い橋を渡り終え
さらにつづく下り坂をせかされるように歩くと
流れをさえぎるようにあの女
十年以上前には頻繁にあっていたあの女が
誰かを待ち受けるように
人の流れをさえぎって流れの中に立っていた
女の目はあやしく見開かれた
私を発見したことによって見開かれるのを
私はうごきかけた追慕の情とともに見守った
女の腕が何らかの動作をしたのかわからない
鞄の中から何かを取り出そうとしてあわてて途中でやめたのか
鞄などは持っていなかったが
急に女の目は私のうしろから近づきつつあった存在に移った
夜目にも青年とわかるその人の腕をさわると
女は安心したようにその人を連れて行った
窓灯りがちらほら無秩序に点る
向こう岸にそびえるような大きなマンションの
こちらには斜めに背を向けたエントランスに消えた
もはや私のことなど忘れ去ったのだろう
安心して忘れ去ったのだろう
固着
05/18/2008 (Sun)
「真正の太陽」が
いつもわたしの腹のなかにあり
今も冷たく育つ
ときには後ろ向きで餌をやる
風がひと刷毛巻きあげると
無関係なカーテンが空でひるがえり
大またを開く「真正の太陽」
蟻が這いまわるひび割れた地がうるおい
さらに水が撒かれ
ダチョウの卵が均衡をたもって中心に立つ
わたしは自身さえ知らない
得体の知れない顔をしているのか
犯罪者予備軍?
けれど秘密は保たねばならぬ
墓場まで運ばなくてはならぬ
「真正の太陽」との親和性
その堕落のありかを鑿を打ち込んで探りたいが
まだまだ日々は遠巻きにするばかりだ
いつもわたしの腹のなかにあり
今も冷たく育つ
ときには後ろ向きで餌をやる
風がひと刷毛巻きあげると
無関係なカーテンが空でひるがえり
大またを開く「真正の太陽」
蟻が這いまわるひび割れた地がうるおい
さらに水が撒かれ
ダチョウの卵が均衡をたもって中心に立つ
わたしは自身さえ知らない
得体の知れない顔をしているのか
犯罪者予備軍?
けれど秘密は保たねばならぬ
墓場まで運ばなくてはならぬ
「真正の太陽」との親和性
その堕落のありかを鑿を打ち込んで探りたいが
まだまだ日々は遠巻きにするばかりだ


