大洋ボート

グッドナイト&グッドラック(2005/アメリカ)

グッドナイト&グッドラック 通常版 グッドナイト&グッドラック 通常版
ジョージ・クルーニー (2006/11/22)
東北新社

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 テレビキャスターのエドワード・マーレーの活躍を描く。1953~54年のアメリカでは、マッカーシー上院議員を発信源とするいわゆる「赤狩り」が猛威を振るっていた。目を付けられた人々が、確たる証拠もないのに、いきなり共産主義者のレッテルを貼られて職場を追放されたり、疑われて、マッカーシー主宰の査問委員会に呼びつけられたりした。新聞、放送などのマスコミは最初は沈黙したが、しだいにマッカーシーに対して反転攻勢をとる。エド・マーレーはその中心人物だった。

 モノクロの画面がなんとも冷たい感触で素敵だ。どういう仕掛けがほどこされているのか知らないが、通常のモノクロではない。それに人物を近くで撮るとき、逆光からカメラを据えたり、うすい陰に被われた顔を多く採用している。暗い部分に対するカメラの感度がそれだけ向上したのだろう。テレビでは、こういう場合、べったりと暗くなって被写体がまったく判別できないことがあるが、この映画はその難から逃れている。テレビでもこうだから、劇場の画面ではもっとすばらしい暗部だろう。また当時のテレビのモノクロ画面はいかにもそれらしい画質だ。これは現在の俳優が映るが、それだけ監督のジョージ・クルーニーはこだわっている。そしてマッカーシーも登場する当時の実写フィルム。ちょっとぼやけているが、なんだか暖かみがある。こういう三通りの画面の対照が面白い。

 それに当時の音楽のひとつの主流だったであろうリズム&ブルース。ロックンロールの出現の数年前という時代を端的に表現している。同じ放送局内の録音スタジオで黒人女性シンガーが小気味よく歌う。ああ、こういう歌を聴いたり、口ずさんだりして、人々は生きていたんだなあ、ここには二度と戻れないんだなあ、という感慨も抱かせる。

 上映時間が意外に短いので、肩すかしを食った感じがしなくもないが、マッカーシズムはまもなく終息することは周知の事実なので、ストーリー的な深追いは避けたのだろう。それでもマーレー役のデヴィッド・ストラザーンや相棒のジョージ・クルーニーはじめ、放送局の現場の人々が緊張感を抱きながら権力に立ち向かっていく様は、きっちりと伝わってくる。冷静沈着で毅然としていながら、しかし内面では薄氷を踏む想いをしている。クビをかけた戦いだから。脇の下にわずかに汗が浮き出るような感覚がないでもない。

 これも忘れてはならない。ところかまわず、ぷかぷか吸う煙草。本番中でもマーレーは煙草を片手に持って、くゆらせている。それがスタイルの時代だった。

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