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手荷物

自作詩
07 /07 2019
両手で手持つのは
乾いた椰子の実ではない
あなた
強いて云えばあなただ
わたしはあなたの履歴を知らない
ただ死んだということだけを知っていて

あなたは死の海から彷徨い出て近づき
ミミズの赤い光を放ち
わたしの臓腑に定着した
あなたはかぎりない疑念を
わたしたちに提示するが
その由来をわたしは知らない
ただ暴力的であるという以上に
知らないままにあなたにわたしたちは
不可抗力的に接近させられる
あなたの魂とやらを鎮める術を
わたしが知るわけもない
ましてそんなことを着手しようなんて
天地が引っくり返っても想わないだろう
今までもこれからも
あなたに触れることが
ただただ怖ろしいだけだ
わたしはあなたの表面しか見ないのか
どれほどの遠い距離を隔てているのか
大いなる錯覚かとも想い
何もしないままできないまま
あなたに近づく
あなたは死んだのではなく
わたしたちの傍で生きつづける
あなたは死者を僭称するのではないか
生者に陰謀を吹きこまれた密使ではないのか
わたしにはわからない
わたしたちを磁石のように引きつけ
かっ攫おうとするあなた
わたしを殺して寄り添わせようとするあなた


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seha

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