FC2ブログ

大洋ボート

焔の部屋

焔の部屋を横目にしながら
開かれたドアの
前方の部屋の
矩形の灰色に向き合う

右腕を
人差し指と中指を
さしだしかけて
発語しようと
唇を微動しかけて
口をつぐんだ あの少女
なおそこに佇んでいて
やり残したことがあるかのように
わたしの発語を待つように
わたしの一挙手一投足を見守っていた
なおそこに佇んでいた
あの少女

残像はわたしのなかで確たるものではなく
天から槍となって急降下した断言
わたしの脳天を直撃した新世界
わたしの生誕の瞬間

少女は柔らかかった
押せばどこまでも受け入れるクッションのように
無防備で
焔のように柔らかかった
焔はわたしを嗾けた
それに託けて
勢いを充填して押し入ろうとして
ためらった かろうじて踏みとどまった
心臓の毛穴の無数から汗が噴き出した
わたしはラスコーリニコフではなかった
少女の瞳にも刻み込まれたであろう その瞬間のわたし
そして「わたし」が刻み込まれた少女に
あらためて気づいて
再びのように対峙しつづけたが……

わたしはそのとき
語るべきだったのだ少女に
逆流する滝のように
欲望が喉元を駆け上がったが
いくら覗き込んでも
手を突っ込んでも
深奥には言葉はなかった 水も砂も
過去も現在も未来もなかった
そのあっけらかんとした空白
黒々とした深奥を 後退した今も
欠損のように苦々しく凝視しなければならないのか

焔の部屋を横目に
前方の部屋の
矩形の灰色に向き合う
開かれたドアが
パタンパタンと風に揺れる

関連記事
スポンサーサイト
    10:45 | Trackback : 0 | Comment : 1 | Top
Comment
2017.10.31 Tue 06:15  |  つねさん #-
こんにちは。
スペースお借り致します。

お友達がたくさん出来て、投稿に参加する度ごとに直筆のカード式のファンレターが3~30枚以上届く文芸サークル(投稿雑誌)をやっています。
ネットでのやりとりも楽しいですが、ぬくもりが伝わるアナログでの活動は温かい気持ちになり、楽しさや幸せをより感じられます。
イラスト・詩・漫画・小説・エッセイなどジャンルを問わず何でも掲載しています。
月刊で100ページくらい。全国に約120人の会員さんがいます。
あなたがブログで発表している作品を雑誌に掲載してみませんか?
東京都内で集会も行っています。お友達や創作仲間作りにご活用下さい。

興味を持たれた方には、現在雑誌代と送料とも無料で最新号をプレゼントしています。
よろしかったらホームページだけでもご覧になって下さい。
ホームページにある申込フォームから簡単に最新号をご請求出来ます。
http://www2.tbb.t-com.ne.jp/hapine/

これからもブログの運営頑張って下さい。
失礼致しました。
ブログを拝見しました  [URL] [Edit]







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://oceanic.blog70.fc2.com/tb.php/761-9c92632c
プロフィール

seha

Author:seha
FC2ブログへようこそ!

カレンダー(月別)
07 ≪│2019/08│≫ 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
全ての記事を表示する
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
ブロとも申請フォーム
ブロとも一覧
ブログ内検索
RSSフィード
リンク