大洋ボート

仁義の墓場(1975/日本)

仁義の墓場 仁義の墓場
渡哲也 (2002/12/06)
東映

この商品の詳細を見る

 やくざ組織の顧問弁護士をしていた人が、テレビで「たとえアウトローの社会であろうと、協調性のない人は生きられない」という意味のことを語っていたのを思い出す。この映画の主人公の渡哲也は、まるでそれを地でいくような人物である。周囲の空気が読めない、やりすぎる、見境がつかない、そんなところだ。石川力夫という実在した人がモデルだそうだ。

 ライバル組織とのいざこざのなか、渡は相手の若頭格の人に重傷を負わせてしまう。親分同士は棲み分けの協定ができているらしいが、渡にはそれがわからない。賭場でのいざこざのあげく、親分の盟友の愛車に火をつけてしまう。それが原因で親分にリンチを受けると、今度はあろうことか親分に刃向かって負傷させる始末。10年の「所ばらい」の処分を受けて追放されてしまう。

 この人物を突き動かすものは何なのか。プライドの度はずれた高さか、暴力への偏執的な嗜好か、それともいわゆる「激昂しやすい性格」なのか、わからない。ただ渡哲也の表情からは,うそ寒いほどのニヒリズムが漂ってくるだけだ。大阪で麻薬を覚え、ふらふらになっても渡はへこたれない。まだまだ執念の火は燃えさかっていて、追放処分を受けた親分の地元へ舞い戻ってくる。そこでまたしても殺傷事件を起こしてしまう。そして何回かの刑務所暮らし。自滅の坂を好んで転がっていく以外の何ものでもない人生だ。

 公開当時、劇場で見たときは「こんなくらい人生は無いなあ」と暗澹としたものだ。あの頃私は半分ニートの暮らしぶりで迷っていたが、まだまだ自分の方がましにはちがいないと妙に安心したことを覚えている。今回DVDで見ると、それほどの感慨はない。ただ渡哲也をのぞくと、忘れていたことがかなりあった。脇役の三谷昇や芹明香の地べたを這うようなニヒリズムの表現、それにカラーのなかにふんだんにモノクロを使用する深作欽二監督のあらあらしい画面構成が成功していて、 印象に残った。

関連記事
スポンサーサイト
    23:36 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://oceanic.blog70.fc2.com/tb.php/60-bab82293
プロフィール

seha

Author:seha
FC2ブログへようこそ!

カレンダー(月別)
06 ≪│2017/07│≫ 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
全ての記事を表示する
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
ブロとも申請フォーム
ブロとも一覧
ブログ内検索
RSSフィード
リンク