大洋ボート

フランス軍中尉の女(1981/イギリス)

フランス軍中尉の女 [DVD]フランス軍中尉の女 [DVD]
(2004/08/02)
メリル・ストリープ、ジェレミー・アイアンズ 他

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  メリル・ストリープが二つの顔を見せる。すなわち撮影進行中でやがて完成される映画のなかの女優としての顔と、映画の外のプライベートの顔である。勿論実際のメリル・ストリープのプライベートではなく、あくまで映画としてのそれだ。両方において共演者ジェレミー・アイアンズとの不倫関係にあるのが眼目で、なかなかおもしろい構造になっている。
  考古学者ジェレミー・アイアンズはイギリスの海辺の小さな町に化石の発掘調査のために滞在する。時代は19世紀中ごろ。そこで題名の「フランス軍中尉の女」と呼ばれて噂されている女ストリープに出会う。噂によればストリープはくだんの中尉の愛人だったが、中尉は戻ってこず、ストリープは中尉への思慕のあまり港の突堤にときどき立ち尽くす。気がふれたようなそのたたずまいをアイアンズも目の当たりにして引かれていく。地元の富裕層の娘リンジー・バクスターと婚約したばかりだというのに。そのときのストリープのコスチュームは頭巾も含めて全身が黒色。バクスターが白に近い明るい色のコスチュームであるのと対照的だ。何不自由なく育って裏表のないお嬢さんよりも、暗さや狂気の気配をただよわせるストリープにアイアンズが引かれていくのはわかる気がする。それは未知で誘惑的な世界だ。ストリープがどういう内面を抱えるのか、字幕を追わなければならず厄介だが、保守層に嫌われることの「悪」や「狂気」にかえって一時的な安定感を見出すようである。不安定のなかの安定として。
  メリル・ストリープは町の人やジェレミー・アイアンズに自分の姿を見せびらかすようで、ふてぶてしい。それに密会の手紙をバクスターの家でアイアンズに渡したりで、大胆だ。またアイアンズの前から突然行方をくらましてわがままそのもの。映画の進行がスムースで自然にストリープに視聴者は引かれるが、ストリープはそれを十分に意識してか、どっしりとかまえる。一方の映画外のストリープはうってかわって「不倫」であってもまるで後ろめたさはない。映画の共演者として時間を共有するなかでの親しさの延長であり、一時的な遊びと割り切っている。この二つの顔を瑕疵なく演じきって、メリル・ストリープはさすがといわなければならない。ジェレミー・アイアンズは逆に映画内でも映画外でも真剣であり、ストリープへの執着が強く、同じ一つの顔である。
  イギリスの町の風景も風光明媚だ。海があって緑が豊かで、19世紀らしく、家畜や馬車が道路にひしめく。また、DVDは映像の悪いものも多いがこのソフトはそうではない。
  ★★★★
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