大洋ボート

リチャード・ニクソン暗殺を企てた男(2004/アメリカ)

リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 [DVD]リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 [DVD]
(2006/01/27)
ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ 他

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  ショーン・ペンが社会的な適応性がなく仕事も家庭もうまく行かず、怨みつらみからしだいに力を鬱積させていく男を見事に演じている。カメラワークが正攻法で奇をてらったところがなく、過剰なセリフもなく見やすい映画だ。
  ペンは小さな家具販売店の従業員だが、青年ぽい正義感の持ち主で店主が「騙しのテクニック」で客に商品を買わせたことに怒りを覚える。詳しくいうと、客に値引きを執拗にたのまれたペンがやむなく承諾する。するとそれをみていた社長がペンを別室につれていく。客のほうは値引きを撤回されるのかと思って、目の前に置いてあった契約書にあわててサインする。これが社長の計算づくのテクニックというわけだ。値引きによって赤字が発生すると客に思いこませるのだ。だが、こういうやりかたにペンはなじめず、持ち前の正義感もあって嫌気がさす。その少し前の社長との食事のおりには「商品にたいする信頼を持つことが大事だ」と説教されたこともあって、ペンは自分もまた小馬鹿にされた感覚を持つ。だがそのとき同時に社長は「ニクソンこそ、最大のセールスマンだ。彼はベトナム戦争終結を公約にして、二度も当選した。そして二度ともそれをまだやらない」と得意顔でペンに語ったものだ。どんな手段をつかっても商品を販売しろと、暗に命じている。
  どんな男であれ、自分は偉大で、能力も愛情も十二分に持ち合わせているという妄想を抱きはしないだろうか。ところが社会は不親切で、自分にふさわしい居場所をあたえてくれないという被害感情も同時にもたざるをえない。それならば社会に妥協したり屈従したり一旦はしなければ生きていけない。収入を得て生活を成り立たせることが最初の必要事だが、この映画のペンにはその志向がない。手堅さがなく、新しい仕事の構想にしても、いきなり大きなことをはじめようとする。別居中の妻ナオミ・ワッツにたいしても修復可能だと信じこんでいる。ワッツのほうはどうもその気がなく、別居は離婚にこぎつけるための冷却期間だとみなすようだ。主観的な愛情とか誠意とかが、女性には通じない場合がある。自分を客観視すべきだとはよく言われることだが、人はなかなかそれができない。私のこの論が説教調にならなければいいと思う。青年期から中年期に足を踏みだす時期、多くの人がこの映画のショーン・ペンの不安定さに支配されるのではないだろうか。私もそうだったから、他人事とはおもえない。
  ★★★



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