大洋ボート

殺人の告白

  この映画のなかの一番面白い部分は、冒頭から10分ほどの刑事と連続殺人犯との追跡・格闘シーンだ。刑事のチョン・ジェヨンが夜居酒屋に入ってきて焼酎を注文する。くだんの殺人犯を追い続けているらしく、疲れきった冴えない表情だ。そこへ、いきなりガラス戸を突き破って何とその殺人犯本人が侵入してきてチョン・ジェヨンに襲いかかる。侵入してきたのが人ではなく、まるでオートバイか小型車両のような勢いで、まず観客はここで驚かされる。即座に二人の格闘となり、二人はせまい居酒屋のスペースで暴れまわり、殺人犯は女将を人質にとったりするが、まもなく戸外に逃走し、刑事も追う。外は激しい雨で、建物が密集した夜の街をどんどん移動する。二人の暴れっぷりが凄いので、街でさえ室内のように狭く感じられる。破壊的で痛快そのもの。二人とも無限の体力があるかのように見る者に思わせるのは、チョン・ビョンギル監督の力量だ。道路のみならず、殺人犯が道を挟んで建物から建物へ飛び移ると刑事も負けじと後を追う。
  すぐれた格闘シーンは観客の眠っている体力を呼び覚ます効果があるのではないか。登場人物の暴れっぷりにつられてもっともっとという気になって、こちらはそれほどの体力など無いことも忘れて映画にいつのまにか参加しているような錯覚に陥る。それに夜の暗さと豪雨が映画ならではカッコよさで興奮を増幅させる。追いつめられた殺人犯が建物の壁に敷設された看板に飛び移るが、看板が人の重みで落下する。これは痛い!と思っても殺人犯はまるで不死身だ。殺人犯の「顔」がようやく正面から撮られるが、ソフト帽とマスクで隠している。ここで憎々しさがまた喚起されるのだ。殺人犯のほうが刑事よりも体力がわずかに上回っている。
  格闘シーンは以降2回、計3回あるが、あとのものは少し雑だ。とくに走行する最中の車両の上での格闘などは、そんなことできるわけないと誰もが思うだろうが、これも冒頭のシーンがあまりによくできているので、その余韻で肩入れできる。話としては「時候成立」のあと「真犯人」が名乗り出るということからあらためて始まるが、目新しさはそれほどでもない。
 いや、しかし、韓国映画の暴力・アクション描写は世界的水準に十分に達している。
   ★★★
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