大洋ボート

レナードの朝(1990/アメリカ)

レナードの朝 [DVD]レナードの朝 [DVD]
(2010/11/24)
ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズ 他

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   バート・デ・ニーロはじめ、原因不明の脳障害をわずらう患者が多数入院する病院に医師のロビン・ウィリアムズが赴任してくる。ウィリアムズはさまざまな試行錯誤の末にパーキンソン病のために開発された新薬を実験的に患者に投与する。すると患者は劇的な改善を見せて、健常者のレベルに近づく。だがさらにその先には予想外の展開が待ち受けている……。
  こんなに簡単に治ることがありうるんだろうか、大丈夫かなといぶかしく思ったくらいだった。患者にとっては奇跡であり狂喜すべきことは勿論だが、この映画自身が大丈夫かな、事実にもとづくと最初に記されてあったが、はたしてほんとうにそうなのかなと、見ている途中狐につままれた気分になった。だがやはり脳障害は一筋縄ではいかないことが後の展開でわかり、患者には悪いが、逆になにかしらほっとした気分になったことも、偽らざるところだった。
  ロバート・デ・ニーロがよかった。少年時代にその病気に罹って以来、30年間彼はベッドと車椅子で母親の介護に助けられながらぼんやり時を過ごしてきた。「嗜眠性脳障害」と仮に名づけられたとおりに、意識に何ひとつ浮かべることはなかった。それが薬のおかげでみるみる意識を取りもどしはじめ、少年時代に帰っていく。30年の眠りから覚めたという、喜びと当惑が同時にあらわれた表情が、ああこんなものかなあと私に思わせた。少しジーンとした。鏡を見ると顔は記憶にあるものとは当然まるでちがう中年になっている。落胆するのではなく、まじまじとみつめる。静かに喜びを噛みしめるのだろう。おそるおそる電気カミソリを頬にあてがう。さらに女性のうつくしさにも目覚める。
  人はおのおの知っていることと知らないことがある。俳優も同じで、知らないことなら、この映画では病人の所作がそれにあたるが、目の当たりにして模倣するしかない。そして知っていることなら、またその延長線上で想像できると思われることなら自分の引き出しからとりだしてみる。そして俳優というひとつの肉体のうえに両者を統一させてまさにひとつのものにする。こういう作業と存在が俳優の理想だということをデ・ニーロをみて納得した。健常者であるデ・ニーロが、にわかに健常者に回帰した病者を演じるのだ。
   ★★★
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