大洋ボート

丑三つの村(1983/日本)

あの頃映画 「丑三つの村」 [DVD]あの頃映画 「丑三つの村」 [DVD]
(2011/12/21)
古尾谷雅人、田中美佐子 他

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  この映画も犯罪が主題だが、比較的丁寧につくられている。小さな山村が舞台で、村いちばんの秀才と一目置かれる青年(古尾谷雅人)が、家にこもって教員資格取得のために勉強をしている。衰弱気味の身体をいたわりながらのようでもある。時代は昭和13年ということで戦争の真っ最中である。教員になるためには当時は師範学校に行かなければならなかったのではと思うが、それ以外に検定制度があったのだろうか、私にはわからないが。
  古尾谷雅人はしだいに勉強一本やりの生活態度に飽きてくる。青年ならほとんどが性への興味をもつものだが、古尾谷も悪友の影響もあってそれを刺激される。さらにはその村には夜這いの悪習が色濃く残っていて、古尾谷は自警団のリーダーである夏八木勲が既婚者の池波志乃の家に押し入って堂々とそれをやってのけている現場を目撃してしまう。夫たちは徴兵されるやら仕事やらで留守が多く、女性にとっても「夜這い」はひそかな娯楽であったのだろう。古尾谷もこわごわ実践してみるが、女性たち(池波志乃や五月みどり)も大歓迎で見事にはまってしまう。時代や地方によっては(勿論個人単位でのちがいによっても)こういう性に対する「おおらか」さが当たり前のように存在したのであろう。もしかすると日本人にはたてまえとしての性にたいする厳格さの裏には、こういう「おおらかさ」の文化的基盤が根強く流れているのではないかと思わされる。
  だが女性をはじめとして村人の古尾谷にたいする態度が手のひらを返したように一変する事態が起こる。古尾谷が徴兵検査において不合格になるばかりか肺結核であることがわかり村中に知れわたってしまうのだ。当時は、結核は不治の病とされたが、同情するどころか古尾谷をまるで邪魔者・死人扱いする村人の態度もどうかと思われ、落胆し絶望し、やがて皆殺しに走ってしまう古尾谷の心情も半分くらいはわかる。しかしあとの半分はやはり描ききれていない。背景から皆殺しに至るまでの古尾谷の「飛躍」が人間的個性としては素通りされている気がする。そこを映画としての娯楽性や大雑把さで代替させている。結果、それなりの面白さでもあり、また後味の悪さをもたらすことにもなった。
  古尾谷が犯罪において秀才振りを発揮するところは、本人も「あく抜き」してすっきりした表情をみせて、なるほどと思うのだが。真夜中電柱によじのぼって電線を切断し、懐中電灯を角みたいに頭にくくりつけて弾薬の箱と猟銃と日本刀をたずさえて、村じゅうの家に押し入りどんどん殺していく。途中咽喉が渇くとヤギの下に仰向けになって乳を搾り飲み干す場面などは印象的だった。
  ★★★
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