大洋ボート

完全な遊戯(1958/日本)

完全な遊戯 [DVD]完全な遊戯 [DVD]
(2003/03/21)
小林旭、梅野泰靖 他

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  大学生の不良グループが、やくざのノミ屋から大金を騙し取る。この設定が面白い。ちんぴらやくざではないから乱暴一辺倒ではなく知的な匂いがする。自分たちだけで考えてはじめて実行するという自負といたずら心がそこにある。グループのリーダーは梅野泰晴という俳優で、当時は民芸という劇団の所属だったそうで、映画会社一辺倒でたたきあげた俳優にはない雰囲気を持っていていかにも青白いインテリ風で、適役だ。また小林旭はいかにもまじめな大学生で、犯罪グループに加わるのは不似合いな雰囲気もある。また、1970年前後の東映の犯罪映画と比べると俳優陣全体がおとなしい気もするが、時代的空気だろうか。
  競輪のノミ屋はレース結果を電話で取材して待機している客に配当金を配るが、そこには5分の時間差がある。電話連絡がくるぎりぎりまでノミ屋の葉山良治は客から掛け金をかき集める。だから葉山よりもレース結果をいち早く知って掛け金を投入すれば大もうけができる。ここに梅野らは目をつけて、まんまと成功させる。これは携帯電話やウェブサイトが当たり前になった現代では考えられないことで、当時は固定電話の普及率でさえ微々たるものだった。描かれてはいないが、ノミ屋に入る連絡にしても競輪場にある公衆電話の列に並ばなければならなかったのではないか。だから大学生たちは他人の所有する固定電話をそのときにかぎって独占しなければならないのでここが一苦労で、詳述しないがこれも計画通りに実行できることになる。
  この犯罪の実行プロセスが巧みに描かれている。競輪場の臨場感もあり、次から次へと連絡役のメンバーが役割をこなしていく場面も迫力がある。それに舛田利雄監督のカットごとの時間配分が的確で、スムーズな流れになっている。職人技だ。
  だがレース結果が大穴だったために葉山は支払い金が足りない。事前に何があっても払う、妹の芦川いづみでさえもカタにもっていけと豪語した葉山の言葉をとらえて、グループは小林旭をつかって芦川いづみを連れ去るのだ。身代金目当ての誘拐と同じである。この第二の犯罪以降はせっかくの大学生のワルぶりがあまりはじけなくて物足りない気がしないでもない。やくざの葉山良治が妹思いの真面目さで、大学生グループが、葉山が警察には連絡しないだろうと高をくくっていたずらの延長のような気分でいる、その両者の対比は面白いのだが、大学生における異常さや冷酷さが演技としてもっと突出してもよかったのではないかとも思えた。今日的基準で見るからかもしれないが。
  映画は映画館で見るのが本来的であり、映像や音響、音声など最高のものがそこでえられる。作り手はあくまで映画館で観客に観賞してもらうことを基準にして制作にたずさわっている。その点ではDYDで見ることは二番煎じにちがいない。だが特典映像やらの「付録」がついている場合は得をすることもある。本DVDには舛田利雄監督のインタヴューが収録されていて、当時の映倫は絶大な権限をもっていて、最初の完成体では上映許可が下りなかったという。上映されたのは修正版ということだ。当時の映画制作の難しさで、興味深かった。
     ★★★
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