大洋ボート

この道は母へとつづく(2005/ロシア)

この道は母へとつづく [DVD]この道は母へとつづく [DVD]
(2008/08/08)
コーリャ・スピリドノフ、デニス・モイセーエンコ 他

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  6歳の男の子が孤児院を脱走して実母に会いに行くという話。話自体としては昔からよくとりあげられてきた題材であり、めずらしくもなんともないが、ここで描かれる孤児院なるものがかなり異様だ。公的機関なのか、認可を受けた民間の施設なのかはわからないが、人身売買に類することを隠微にやっているのだ。つまり外部からの養子縁組の申し込みにたいして施設の子供を紹介するのだが、それ自体はありうることとしても、高額の謝礼を申込者(将来の「親」)に要求してのちに、その金を院長と側近が独占するように見える。この施設自体が犯罪組織ではないにしても退廃的ではないか。主人公の少年が脱走したのち金づるを逃すまいとして二人は必死に追跡するが、その過程でも情報を知っていそうに見える人に金を渡して口を割らせようとする場面がある。金がものをいうとこの二人は高をくくっている。これらのことは社会主義崩壊後のロシアという国の現実を一面で反映しているのではないかと思われる。養子縁組を申し込んできたのはイタリア人夫妻で、つまりはそれによって外貨が流入してくるということで、国境が開かれたことで外貨獲得のチャンスがロシアという国に大衆的に広がったのだ。
  一人っ子政策をとる中国では子供の誘拐と人身売買を行う大規模な犯罪組織があるとの報道を目にしたことがあるが、そこまでではない。子供の全員が養子になれる「チャンス」をあてがわれるわけでもなさそうだ。また捨て子で自分の本名を知らない子供にとっては実の親と再会することは絶望的であり、養子になることは裕福な生活をおくれる唯一の「チャンス」であるらしい。施設の幹部が主人公の少年にこう言って説教していたが、それも理解できる。やがて中学、高校生くらいの年齢になると、養子になることもおのずから諦めなければならず、労働をしてそのなかから施設の代金を払わせられる。女性なら出稼ぎで売春をするらしい様子も描かれる。売春しても管理者は見てみぬふりをするのだろう。小学校低学年から高校生くらいまでの子供が、大げさにいえばすし詰め状態になっている。その息苦しい空気も伝わってきそうだ。
  少年は施設の金庫から書類を盗み出すことをたくらむ。もしかして自分の本名が記されているかもしれないから。字が読めないのであわてて勉強をする。やがて書類を盗み出すことに成功すると本名と以前に居た施設が判明する。施設の年長の少女にも助けられてそこまで電車やバスでやっとの思いでたどり着くが、その間約半日の旅程だ。何処の国でもいじめがあるようで、施設の内と外で少年はひどい目に合わされる。だが親切な人もやはり何処の国にもいて少年を助けてくれる。いいなあと思わされる。
  ロシアの民家の外観を映画ではあまり目にしたことがなかったが、みすぼらしい家はまだまだ残っていそうだ。
     ★★★
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