大洋ボート

言葉と無力

彼等はいる
気配はなくても彼等はいる
壁でかこまれた部屋には
半透明な衣の壁がさらにたむろして
裾をひきずる音がする
わたしは彼等のなかを何回もくぐり抜ける
卵の殻と菓子パンの袋が散乱して

彼等のなかにわたしはいる
見て見ぬふりをしながら
彼等はわたしを盗み見る
遠巻きにされ簀巻きにされるわたしの存在
わたしの言葉はわたしの動きと蜜で
かろうじてつながっているから
わたしの動きはわたしの言葉であり
わたしを意識する彼等をわたしは知っている
その意識内容は知りえないが
その外郭がわたしの意識に流入して
ごわごわのバルーンのようにわたしを狭める
わたしの意識は負荷を与えられる
わたしの意識は言葉からずり落ちる
わたしはやがて言葉を捨てやがて動くことも止め
見て見ぬふりをすることも止め
わたしの意識としてありつづけることを放棄し
未来へすっ飛ぶ

わたしは言葉の階段を駆け上がり
言葉と一体になったつもりの推進力で駆け下りた
言葉がわたしの動きを規定した
しかしながら彼等はわたしが物珍しかった
彼等は言葉よりもわたしに注目したので
わたしはわたしを消すことができなくなった
今更わたしはわたしにすぎないとは言えなかった
わたし自身わたしがどういう人なのか
答えを用意していなかったのは迂闊だった
わたしは「わたし」が存在するとさえ気づかなかった
わたしはあくまで言葉に従属するとの最初の断定に
しがみつこうともしたのだが
動きは動きとして緩慢に持続させたのだが
動きがやがて感情を爆発させるであろうとの
魅力と恐れとを尻目に
衰える命のように未来にすっ飛んだ
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