大洋ボート

ドラゴン・タトゥーの女

  題名のドラゴン・タトゥーの女に扮するルーニ・マーラという女優がなかなか魅せてくれる。主役のダニエル・クレイグも悪くはないが、私はマーラのほうが印象に残った。というよりも他にはあまり見どころがないのかもしれない。
  彼女は精神障害者と認定されて、両親がいないためか後見人なるものが国家によって指定されて、財産を管理されている。生活状態もたぶん監視されるのだろう。そのスタイルは刺青は勿論、顔にピアスをしていて毒々しく、これはのちにわかるが少女時代にこうむった不幸な事件が影響しているようだ。そして最初の後見人が病魔によって倒れてから二代目に替わるが、この男がとんでもない変態男で、マーラは二度にわたって性的虐待を受ける。一回目は男から金をもらうためにいやいやながら応じるという態で、不良性を身に着けているからこそ対応できる。だが二回目には男に手錠をかけられベッドに縛りつけられてレイプされる。そのときのマーラの悲鳴が真に迫っている。上半身の衣服だけを着たままでシャツをぶらぶらさせる男の姿も気味悪くなまなましい。だがマーラは見事に復讐をとげる。あらためて男を訪れてスタンガンで気絶させ、性的虐待のお返しをするのだ。ガラスの棒を用意しておいていたぶる。今度は男が悲鳴を上げる番だ。悲鳴の競演である。その直前、訪れてきたマーラを見て、そんな事態になるとは夢にも思わない男が、反省を表すかのような、妙にしおらしい態度をみせるのも私にはリアルにみえて、苦笑しつつ、そういうものかなあと受け取った。このあたりはストーリー的には脇道の部分だが、私にはいちばん見ごたえがあった。またこの男は肥満体型で、『セブン』にもあったが、デヴィッド・フィンチャー監督は、肥満男の悶絶するさまが好きなのかもしれない。
  ルーニ・マーラは障害者と認定されながらもPCハッカーとしても凄腕で、新聞記者のダニエル・クレイグの調査を依頼され、さらにその次にはクレイグの助手をやらされることになる。依頼者はいずれも同じスウェーデンの老富豪で、はるか昔に行方不明となった娘に関する捜査をクレイグに頼む。やがて調査するうちに、その財閥一族やその周辺で奇怪な死を遂げた人々が浮上してきて、もしや連続殺人事件ではないかとの疑念がクレイグらにもちあがる。一族の男の遺品である手帳やら当時の古い写真やらを手がかりにクレイグら二人は謎解きに取りくむ。また当然、関係者の聞き込みも旺盛におこなう。だがこの捜査の過程が私にはそれほど身を乗り出すほどのものではなかった。古い写真をPCにスキャンして、ためつすがめつするさまは、もたもたしていて鮮やかさがない気がした。柔道の言葉でいえば「一本」とった個所がなかった。また異常者の猟奇殺人ということになるが、たとえばクリント・イーストウッド監督の『チェンジリング』の薄気味悪さ、残酷さにはとおくおよばない気もした。それもこれも先に書いたルーラ・マーラの一連の出来事が、映画のもつエンターティエメント性を如何なく発揮して目立つからだ。
  忘れてはならない。CGによるタイトルバックの絵模様はよかった。どろどろした液体が人体や物体を流れ落ち、あふれかえるさま、同じようにして炎がゆっくりと燃え盛るさま、ビートの効いた音楽とも相まって、さあ、これから映画がはじまるぞというわくわく感をもたらしてくれた。
     ★★★
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オリジナルと互角の面白さであった。全体的な印象として、艶っぽい。ラストの印象も違っていて、オリジナルでは温かみを感じたし、リメイクでは甘酸っぱさを感じた。いずれにしろ甲... 2012.04.10 22:37
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