大洋ボート

その場面

周期的にあらわれるその場面は
わたしの従前からの熱病によっている
熱病がさらに亢進するのか
烏が羊の奇声を発するように
だがその場面を注視するにつれて
わたしは熱病を忘れがちであり
似つかわしからざる究極の自己実現のように思えて
従前からの有頂天の籠のなかにいて
錯覚とはついに気づかれない錯覚
着実に目標に近づきつつある思いこみで
自分に言い聞かせるのも手慣れた儀式さながらで
見せかけの冷静さを獲得するかのようで
欣喜雀躍するわたし自身にたいする警戒を
わたしはたまには怠るまいとするが
雑巾で顔をぬぐわれたときの罪科の風
屈辱とうしろめたさは逆に居心地のよさ

周期的にあらわれるその場面は
全貌をいつも明確にしない中途半端さで
その半端さはじつはわたしの意思に沿うものであり
曖昧かつ臆病であるわたしは
壊滅を怖れながらも助平根性は
ひとつの結末を覗いてみたいので
ずたずたにされた壁紙の脂ぎったなおかつ
使い古されたその場面を前にして
わたしはなおも処女のようにすがすがしく
おまえは場面のなかにすでに先行している
影にどっぷりひたされた場面の何処かで暴れまわっている
武具を身に着け武器をふりまわしているのか
人助けに奔走しているのか
あるいは死に急ぐのか
姿は無論みえない音饗も伝わらないが
熱風だけはかろうじて頬に受け止められるが
わたしはおまえに声援を贈るのか
それともいざというときには逃げ出す準備を怠らない
狡猾と冷淡を維持しつづけることになるのか
それでもおまえに同調しようとする意志は
わたしの片隅にはずっとあり
熱病とそれをあっさりかたづけることでは
この執着はあまりに謎多くおさまらない
おまえの行動の逐一がわたしにとって不明瞭なことは
これまたわたしの意思である
何者かにそそのかされたわたしは
そそのかされたことが好きでありそのついでに
おまえをそそのかし信じられないほどに
おまえはあっさり同調し
軽挙妄動の油をわたしは注ぐ
羊が烏の奇声を発するように
この熱病にたいする自覚と戦いは
わたしの生涯につきまとう首輪である
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