大洋ボート

孫文の義士団

  替え玉の孫文を乗せた人力車が香港の街を進む。これを清朝の命を受けた暗殺団がビルの窓から矢を次々放つ。あるいは銃弾、爆弾、あるいは地上の部隊が剣やカンフーで襲いかかる。この連続するアクションシーンがたいへん見ごたえがある。たとえばドニー・イェンというアクション俳優が屋根つきの歩道を出店のテーブルをつぎつぎに跳躍して疾走する。まるでエネルギーの塊である。うならせる。ワイヤーが使われていることは明らかだが気にならない。ドニー・イェンの肉体の力が抜群でその延長線上にワイヤーが使われているようにみえて決して不自然にはみえないのだ。それに古色蒼然とした20世紀はじめの香港の町並みも薄汚れてごたごたした雰囲気がよくでている。3階、4階くらいのビル郡がひしめき合うように道の両側に肩を並べて窓が無数にあるから、敵がどこにひそんでいるのかまったくわからない。実際の町並みを借りたのか、野外セットなのかはわからないが、後者だとすると大規模で、素晴らしい出来映えだ。
  だが惜しいことにはアクションシーンにおけるリズムがときどき停滞する。これは主だった護衛の武人がつぎつぎに討ち死にした際に、彼の名前や生没年月日が表示されて哀悼の意が表されるからだが、この時間が長い。どくどくと流れる血を体感している視聴者はそれをそのまま持続させてもらいたい、ハイテンポなリズムをそのままに刻んで突っ走ってもらいたいと願うので、それを裏切られた感覚に陥る。束の間だらけてしまうのだ。こういうことを考えると昨年見た三池崇監督・役所広司主演の『十三人の刺客』がいかに素晴らしかったか、あらためて痛感される次第だ。
  アクションシーンは後半に大部分が集中している。前半から後半にかけては香港に上陸する孫文をいかに守るかという香港の実業家や新聞社主宰による準備や、やがて孫文の護衛を買って出る人たちの人間劇がもっぱらだが退屈はしない。とくに実業家にふんするワン・シュエチーという俳優が全体の空気をひきしめている。
   ★★★
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