大洋ボート

真夏のオリオン(2009/日本)

真夏のオリオン [DVD]真夏のオリオン [DVD]
(2010/03/21)
玉木宏、北川景子 他

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  太平洋戦争末期の日本軍潜水艦の活躍を描くが、艦長の玉木宏が考えられないほどの生命尊重を追求する。この頃だから特攻兵器の人間魚雷「回転」が搭載されているが、玉木はその出撃を命がもったいないからということで、命じようとしない。さらにくわしいいきさつは忘れたが、アメリカ軍の地上艦の艦長も歩調を合わせたように、眼前に浮上してくる玉木の潜水艦を安全だからという理由で攻撃しようとしない。こういうことがあったのか、もしかしたら万が一あったのかもしれないが、あまりにも通俗的ではないだろうか。別に生命尊重を旨とする軍人がいてもかまわないが、時代とのせめぎ合いがまったく描かれないことがいかにも現実離れして、コミック的世界にしか受け取れない。
  生意気を言うのかもしれないが、あの頃は総力戦だった。民間人でさえも死を覚悟した時代で、本心では自分一人でも最後まで生きのびたかったであろうが、それをおおっぴらに叫ぶことははばかられた。軍人なら死と引き替えに戦果をあげることが賞揚されたのだ。生命尊重は正当であるが、時代のそういう空気との格闘なしには存在しえない思想であり姿勢であったことは忘れてはならないと思う。そういことがこの映画には描かれていない。
  玉木宏は妙にやさしい。滑舌がよく声の響きもよく俳優としては素質十分だが、アット・ホーム過ぎて戦争にはふさわしくない。玉木一人のせいではないことは承知の上で書くのだが。
  かといって、あの時代をそのままに描いたとしても違和感がぬぐえない。これは『零戦燃ゆ』という映画をDVDでみて感じたところだ。若い俳優が普段使いそうにない「貴様」という言い方を友人に連発していてぞっとした。いい悪いの問題ではなく、今の言葉遣いとあまりにもかけ離れていたからだ。それだけあの時代の戦争がとおくなってしまったのだ。今の時代の空気をそのままに戦争期に運ぶ、また戦争期の特徴をそのままに描く、この方法ではうまくいかないのではないか。戦争期をとおして今の時代を考える、逆に今の時代のなかに戦争期(とはかぎらずとも)の残照を見る、それができればよいのだが、それにはなんらかの工夫や手続きが必要そうだ。両作品を見て感じた。
  ★★

零戦燃ゆ [DVD]零戦燃ゆ [DVD]
(2003/12/25)
加山雄三、堤大二郎 他

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