大洋ボート

ソルト

  アンジェリーナ・ジョリーが全編にわたって動き回り、暴れまくるアクション映画。壊しまくり、殺しまくるといっていいくらいだ。CIAに所属するスパイである彼女は、ロシアからの亡命志望者の供述によって二重スパイの嫌疑をかけられるが、拘束される寸前になって逃亡する。以後、考えられないような超人的な動きの連続で逃亡劇がえんえんとつづくが、のみならず、アンジェリーナ・ジョリーはロシアのスパイ組織に接触したり、アメリカ副大統領の葬儀の会場に潜入を試みたりする。
  アンジェリーナ・ジョリーの正体がなかなかわからないところが面白い。単発ものなので(これからシリーズ化されるかもしれないが)007シリーズのように主人公の真の身分がはじめから明かされないのだ。中盤になって彼女はたしかに二重スパイであることがわかるが、勿論それで彼女のやろうとすることが決定するのではなく、もうひと捻りあるという展開だ。アンジェリーナ・ジョリーは主役クラスの女優であり、悪役など滅多なことでは引き受けないであろうという、ある種の期待を視聴者は抱きながら画面に釘付けになるが、この期待が彼女のあまりにも破壊的かつ超人的な動きによって揺すぶられ、はらはらさせられる、そこが面白い。最後になって彼女は悪役ではないことがようやくわかり、辻褄が合うのだが、それも彼女の連続する動きを後追いしながらの結着となる。セリフや説明でないところが「ノンストップ・アクション」の面目躍如たるところだ。何というのか、無茶苦茶に岩盤にドリルで穴を開ける作業を繰りかえした果てに、偶然に鉱脈に行き当たるというような幸運の感覚がもたらされる。
  アンジェリーナ・ジョリーが一撃のもとに警官などの追跡者を打倒する場面がそれこそ数珠つなぎで映されるが、編集がたいへん巧みだ。実際の格闘なら、たとえばボクシングのテレビ中継を見ればわかるが、睨みあいからはじまって徐々に間をつめていき軽いパンチの応酬となる、KOシーンはまだまだというのが一般的な流れだと思うが、ここではいきなりのKOであり、またその数珠つなぎなのだ。それにカメラの位置が格闘を客観的に眺めるにしては少し対象に近寄り過ぎているのだが、これがかえってスピード感を演出する効果をあげている。カットごとの時間が短いことも含めて、こういうカメラと編集の方法はこの映画にかぎらず、現在のハリウッドのアクション映画がこぞって採用するものだが、それだけに練達の域にある。またいくら映画作法が高度化しようとも中心になって動く俳優の動きが鈍ければ興ざめるが、アンジェリーナ・ジョリーはその点でも合格点だ。他の例をあげれば「イーオン・フラックス」のシャーリーズ・セロンは動きが固かった。肉体の動きがふさわしくなければ編集の巧みさは「編集によるごまかし」に堕してしまう。このように俳優の動きとカメラ・編集作法がいいからたいへん心地よく、はらはら感も高まる。アンジェリーナ・ジョリーが高所から疾走するトラックの屋根に飛び降りるシーンがあるが、ありえないからといって失笑はできない。映画の連続性のなかの1シーンとして十分に受け入れられる。
  マット・デイモン主演の「グリーン・ゾーン」と同じように、新しい話題がなくても面白いというアクション映画。ロシアの一部の政治勢力がいまだに打倒アメリカを目標としているのかは不明だが、おそらくはロシアを席巻するほどの勢力とはなりえないだろう。
   ★★★★

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