大洋ボート

鳥の行方

喉仏のあたりで飼っていた鳥が
弱々しい羽ばたきをして
あなたの何処かに棲みつこうとして
あなたは絞め殺した
あなたは何も知らないのだが
わたしを視認したとき
そこで鬼火が瞬いて
ただ単にごつごつした石に
頬が触れられたような出来事としてあなたは知覚した
わたしを視認したことをつうじて
わたしに纏わる出来事として知覚した
わたしはさらにあなたよりも遅れて
あなたやあなたがたよりも遅れて
しかもあなたやあなたがたを通して
わたしのなかで壊れてしまった出来事を予感させられたが
あなたがたににわかに注目を浴びたこと以上に
どれほどの具体性も識別できなかった
あるいはほんの小さな憐れみ?
鳥が絞め殺されたなどとは
ましてやわたしが鳥を飼っていたなどとは
素っ気ない態度を決め込んでいたあなたやあなたがたが
わたしににわかに漏斗状に注目を向けたこと自体
ハンマーで家ひとつ壊された瞬時の
無性の腹立たしさを惹起させた
腹立たしさの器にさらに油をそそぎこんで熱くした
結晶化されてそれは菱形の炎となり
あなたやあなたがたの「肉の森」を照らしたが

喉仏のあたりで飼っていた鳥は
出来合いの言葉によって飼い慣らされた
あるいはわたしの雛形
喉仏のあたりで飼っていた鳥は
あなたによって絞め殺された瞬間燃えあがった
新聞紙で折られた鳥のように燃えあがった
その炎が間髪を置かず伝播して
わけのわからないままわたしは破壊的な闘志を燃やし
その直後に自身たじろいだのだった
信じられないほど交錯するほど近づいてから
わたしはあなたから逃亡しなければならなかった
今だから言えるのだが
わたしたちには発すべき言葉があったはずだ
信じられないほど近づいたことを素直に認めるべきだったが
信じられないほど近づいたことをわたしは怖れた
死んでしまった鳥などはどうでもよく
わたしたちの関係の仮死を避けるためにも
ましてやあなたがたに全面降伏して「愛」の奴隷になるのでもなく
わたしたちには語り合うべきだったが
鳥の断末魔を曖昧にしたわたしは
意志と虚偽の力をますますつのらせて
出来合いの言葉を何重にも重ねたのだった
斧と言い訳を何重にも重ねたのだった

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