大洋ボート

アイガー北壁

  1930年代半ば、各国の登山家が前人未踏のアイガー北壁ルートでの登頂を目指していた。ナチス政権下にあったドイツでも、それまで何人もの遭難者が出たにもかかわらず、国威発揚のためもあって、次なる挑戦者の出現に期待した。マスコミも注目したが、新聞社のカメラマン(女性)、ヨハンナ・ヴォカレクは幼なじみの登山家二人に白羽の矢を立てる。慎重だった二人だが、国民的期待に背中を押されるように、やがて挑戦することになる。
  真面目な姿勢が映画につらぬかれていて好感が持てる。俳優陣がいい。リーダー格のベンノ・フェルマンの眼差しや、ヨハンナ・ヴォカレクの明るさからしだいに深刻さを増していく表情など、大げさにならずしかも核心を外さずに演じている。創作方法もオーソドックスで見やすい。極端な顔のアップ、細切れのカットの連続、そういったものがなく、どちらかといえば古めかしい作り方だ。だが山場の登山、特に遭難の場面はどうか。あまり目新しさがなくて食い足りない。吹雪の寒さ、落石と雪崩、岩に打ち込んだハーケンと呼ばれる金具が体重の重みで外れそうになる。私は登山のことは知らないが、遭難事故とはたいていはそういうところから発生するようで、この映画でも同じだ。そこを問題にするのではない。撮り方が従来の山岳事故をあつかった作品とほとんど同じであることに不満が残る。とくに登山者をカメラが水平の位置から撮ることが多すぎる。セットか実際の低い岩山か、どちらかを使って撮影されたと思われるが、それをすぐさま連想させてしまうのが残念だ。落石や雪崩の場面など、下から(登山者の足下から)撮影することをもっと多く試みてもよかったのではないか。映画は過去の作品と物語は同じでも、撮り方によって新しく生まれ変われるものだが、本作はそこまではとどかなかった気がする。
  とはいえ、登山者に危機が迫るにつれて女性カメラマンのベンノ・フェルマンへの思いが「幼なじみ」から恋へ一気に駆け上る変化は真実味があった。山をぶち抜くトンネルの中頃に駅があり、そこから北壁に通じる展望台に出ることができる。ヨハンナ・ヴォカレクと救助隊は後一歩のところまで瀕死の登山者に接近するのだが。
  ★★★

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