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森枝卓士『図説・世界100の市場を歩く』

図説 世界100の市場を歩く (ふくろうの本/世界の文化)図説 世界100の市場を歩く (ふくろうの本/世界の文化)
(2009/09/09)
森枝 卓士

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  食材を得るためによく買い物をするが、ほとんどスーパーマーケットで済ましている。市場(いちば)と呼ばれる個人商店の集合所は、私の近所では絶滅してしまったし、個人商店にも滅多に行かない。スーパーでまとめ買いをしたほうが支払いが一度で楽だからだ。それに食材ならあらかじめ発泡スチロールとラップで包装されているから見た目清潔だし、段々に重ねても大丈夫。ということで日本では市場は少しずつ衰退しつつあるのかもしれないが、外国ではまだまだ健在である。日本にだって卸売市場はなくてはならない役割を果たしている。
  大きな市場から露天がいくつか集まったごく小規模のものまで、世界中の市場を訪ね歩いてできた本である。短い記事ごとにカラーやモロクロの写真が豊富に掲載されていてちょっとした旅の気分が味わえる。それに食に関する豆知識もおもしろく得られる。
  市場は人の集まりそうな場所に設営されるのが常識かと思ったが、そうでもないらしい。南アフリカはヨハネスバーグ郊外の草原地帯では木陰を利用していくつかの露天が集まって果物やら飲み物やらを並べている。周囲に家並みはなくドライブ客が目当てと思われるが、流行っていそうにない。自給自足の余剰分の食材かとも私は考えもしたが、著者はその辺は深追いせずに見たままを記して終わり、次の記事へ移るという方式だ。パプアニューギニアのポートモレスビーでは、豚肉をスーパーと同じようにトレイとラップに包んで露天で売られていた。ついこないだまで「石器時代 」の生活をしていた人たちが急速度に文明を吸収するようだ。著者とともに私も驚いた。
  私は何も知らないから驚くことが多い。パパイヤ、マンゴーといった甘い果実は東南アジアでは未熟期に細く切って調味料をつけておかずにすることが珍しくないとのこと。野菜感覚だ。熟した状態ばかりでは飽きるのか。それとも保存が利くからか。著者も言うように野菜と果物の区別という概念がくつがえされる気がする。この区別は糖度のちがいによる感覚的なものにとどまるのか。また、日本固有の食材だと思っていたものが外国でもポピュラーに売られていた。ベトナムのスルメ、スペインでの鮟鱇、等。
  著者の森枝さんが美味として挙げているのがイスタンブールで普通に売られているパンで、フランスパンやらコッペパンやら。世界中をめぐり歩いた人が素朴に「うまい」というのだから、間違いなくうまいのだろう。森枝さんにも小麦粉が上質なのか、焼き方が巧妙なのか、理由はわからない。しかしうまいことは確かで、食べ過ぎてしまうようだ。私も一度は食べてみたいものだ。素朴な感動が伝わってくる。さらにそのパンに鯖をはさんだ「サバサンド」は味が複合して、またうまいらしい。
  チーズに関するうんちくにはなるほどと思った。ヨーロッパでは何故チーズの種類が多いのか。牛乳(羊の乳もある)を熱して酸を入れると凝固する。それがチーズで、酸はヨーグルトが用いられるが、牛や羊の第四胃袋に含まれるレンネットという酵素をもちいることもある。胃袋だけとりだすことはできないから雄の子牛や子羊を殺す。何故成長した牛や羊ではだめなのかは書かれていないが、そうことでチーズの種類が豊富になるとともに子牛や子羊の料理も発達したのだそうな。
  受け売りばかりしてもいけない。私が思い浮かんだことがあった。中国の生ハムがとりあげられているが、作り方はヨーロッパとまったく同じでも味がちがう、中国の味だという。私は一度だけ上海に行ったことがあるが、豚肉の味がちがったことを思い出した。日本の豚肉は淡泊でぱさぱさしているのにたいして中国のそれは噛みごたえがあって何かしらどっしりした、土の匂いというのか濃厚な味わいだった。調味料によるのではなく肉そのものの味がたしかにちがっていた。品種や餌のちがいによるのかは私にはわからない。ともあれ生ハムの味のちがいはそこからきているのではないか。しかしここではヨーロッパの生ハムとの比較で、私はヨーロッパと中国いずれの生ハムも食べたことはなくい、その比較をうんぬんする資格はない。(普通のハムの輸入品を口にしたことはあるかもしれない)ただ単に中国の豚肉を一度味わったので、それを記しておきたかったに過ぎないのだが。
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