大洋ボート

砂漠の流れ者(1970/アメリカ)

砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード 特別版 [DVD]砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード 特別版 [DVD]
(2009/07/08)
ジェイソン・ロバーズステラ・スティーブンス

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  アメリカンドリームというほどではないが、小さな夢を実現し幸福な人生を迎えようとしたまさにそのときにあっけなく死んでしまう男の話。西部劇であるが、そのなかではかなり上位にランクされるべき傑作だ。

  ジェイソン・ロバーズは何日もの間、炎天下の砂漠を死に瀕してさまよったあげく水の出る場所を発見する。仲間二人に裏切られて身ぐるみはがされたことが事の発端だったが、不幸が幸運に転じたのだ。さっそく町へ行って銀行に融資してもらい自分の土地にして、そこに掘っ立て小屋を立てる。そこは駅馬車の通り道のそばにあって、人や馬の休憩地にするのだ。水は有料。事業は成功する。また町に訪れた際に、ステラ・スティーヴンスに一目惚れする。この間の映像がいいのは、最初は、ステラが胸が大きくひらいたドレスを着ているものの淑女然として通りを歩いているところをジェイソン・ロバーズが見初めることだ。次に見かけたときには、ステラは男を連れて野外の階段を登る最中である。このときにステラが売春婦であることがロバーズにはわかるのだが、それでもうっとりした表情は変わらない。身分にこだわらない、中年男の純愛だ。またこの「純愛」はロバーズがお人好しなこと、仲間に裏切られた原因であるところの彼の殺傷嫌いともつながっていて、ロバーズの人となりを表すのだ。二人は仲良くなるが、ステラは間借りしていた酒場から追い出されてロバーズの小屋に転がり込むという展開になる。

  ジェイソン・ロバーズもいいが、ステラ・スティーヴンスがもっといい。明るく勝ち気で、大金持ちと結婚するという夢をあきらめない。その反面「純愛」を受け入れる素地も残っている。笑顔や、売春婦であることをロバーズに言葉の端で侮蔑された(ロバーズの嫉妬妄想による)ときの怒りの表情やらが印象に残る。恋愛の最中の女性の生き生きした表情ではないか。だが二人の生活は長くはつづあない。ステラは二人しての都会行きを望むが、ロバーズは裏切ったかつての仲間を待つために砂漠の小屋に残る……。もうひとりの重要な人物、好色な自称神父も映画に立体感を与えている。神父という立場を利用して、若い女性の不幸に同情しながらその肉体に執着する。セクハラも映画の空気に濾過されると笑いの種になる。

  最後のあたりでは自動車が登場して、ロバーズの小屋を素通りしていくさまが映される。時代の節目であり、ロバーズの商売も徐々に衰退する予感がもたらされる。しんみりする。その自動車で、サンフランシスコにいって大金持ちと結婚したステラ・スチーヴンスが帰ってくる。豪華な緑色のドレスに身を包んで。サム・ペキンパー監督としては暴力描写が少ない異色作で、かつ傑作だ。
  ★★★★★
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