大洋ボート

嵐の気仙沼

  NHK総合午後8時からの「嵐の気仙沼}という番組を見た。ドキュメントで、全国から三陸沖に出漁していた漁船が、嵐を回避していっせいに漁業基地の町気仙沼に寄港した1日を追っていた。同じ船のメンバーがそろって銭湯に向かい、垢と汗をながす。また雑貨屋に寄る。船上生活での日用品や、漁業に必要な道具を仕入れるのだろうか。二つの店をきりもりするのは女性で、ともに60歳を過ぎている。また漁師の面々も大半が50,60代に見える顔つきである。二つの店はともに漁師連中とながいつきあいのようで、そこには仕事という限定を超えた情が通っているようにみえた。銭湯の女性は若い漁師の見合いの世話をするそうで、北海道の青年と地元気仙沼の娘さんを合わせて、おかげで二人は婚約にこぎつけた。また雑貨屋には品物の陳列のスペース以外に漁師たちやときにはおかみさんが混じって談笑するスペースもしつらえてある。
 
  昼間はめいめい好きなことをするのだろう。久しぶりに陸(おか)にあがったからには、かねてからの楽しみにひたれる時間。くだんの北海道の青年は勿論婚約者に会いに行った。パチンコの興じる青年もいた。研修名目で漁業に従事するインドネシアの青年たちはネットカフェに行って、祖国の人との交信に耽る。夜は居酒屋かスナックでご馳走を腹に入れながらの痛飲。これは夜明けまで飲み明かす習慣の人もいるようだ。

  「青畳が恋しい」「畳の匂いが好き」。居酒屋でベテランの漁師が言い、同意するように聴き入る同僚。海の上の時間が長い漁師だからこその感慨だろう。変わり映えしないなどといってはいけない。同じ感情、同じ言葉を受け継いでいくのもいいものだ。また同じ言葉でも微妙に思い入れがちがっていても、やはり同じ言葉で表現するということもあるだろう。「青畳が恋しい」ーーじつに普通の、しかも正常な日常感覚だ。その痛切さは、私のような陸に常住する人間にはわからないかもしれないが。スナックのママは寄港した船をチェックして馴染みの漁師につぎつぎ電話をかけまくる。突飛かもしれないが、私は森新一の「港町ブルース」を思い出した。

 おしなべて漁獲高は年々減っているという。書いたように、この世界も高齢者が多い。また店のおばちゃんたちの仕事を引き継ぐ人もいるのだろうかと、心配になってくる。ありふれてはいるが、きびしい仕事にまつわる人たちの、人情味たっぷりのどっしりした世界を見せてもらった。いい番組だった。

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