大洋ボート

サンシャイン・クリーニング

 長女を中心としたアメリカの白人下層階級の奮闘記。エイミー・アダムス(ローズ)はシングル・マザーでハウスキーパー(部屋の掃除と整頓の仕事)をしている。また高校時代の友人で現在は刑事をしている男と不倫関係にある。高校時代はチア・リーダーとして人気者だったエイミーとしては不本意だろう。かつてのクラスメイトに遭ったときにも職業を正直にいえない。生活も楽ではない。そこで刑事はローズに提案をする。殺人や自殺の現場の清掃作業がいい金になるので、やってみないかと。さっそくローズは同居中の妹のエミリー・ブラント(ノラ)と共同でその商売を始める。悪臭が蔓延するなか血しぶきで汚れた壁を拭いたり、マットレスをゴミ捨て場に運んだりと、一目でたいへんな作業であることがわかる。

 日本映画の「おくりびと」は納棺師の仕事を描いたが、そこでも孤独死したホトケの残された部屋をかたづける場面があったので似ている。だが「おくりびと」が、死者をあの世へ礼節をもって丁重に送りだすことに哲学をこめていたのに対し、この映画にはそういうものまではない。「クリーニング」は単に汚れ仕事だが金になる、貧困から抜け出すためのてっとり早い仕事という以上の位置づけではない。学校で問題児扱いされるローズの長男の私立小学校への転校も金があれば可能なのだ。

 だが、死者は生前に身近に置いていたものをそのままにして死ぬ。たとえば家族の写真であるとか。清掃作業中にそれは容易に手に取ることができる。そこから家族関係の複雑さ、哀れさが見えてくる。そこからさらに自分たちの家族の過去も思い出さずにはいられない。忘れようとしていた悲劇に今一度立ち戻らざるをえない。だがやはりいったん始めてしまった仕事はつづけなければならない。この映画はそこに重点を置く。仕事の内容ではなく、仕事に結集する家族の姿を、その団結を。仕事上の失敗で姉妹が対立したとき、あやしげな卸の商売をしていた父までもが参加してくるのだ。

 とくに目立つ刺激をもらったのではないが、スムースな見やすい進行で、明るくて前向きなアメリカの白人下層階級の家族を描いて、心地よさをもたらしてくれる。

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