大洋ボート

マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007/フランス・香港)

マイ・ブルーベリー・ナイツ スペシャル・エディション [DVD]マイ・ブルーベリー・ナイツ スペシャル・エディション [DVD]
(2008/09/12)
ノラ・ジョーンズジュード・ロウ

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 ほろ苦さのなかにすがすがしさがある。失恋した若い女性があらたな異性とめぐりあい、幸福をつかみとるという物語だが、そこにいたるまでの旅や人との出会いが彼女を成長させ、理解を深めさせる。いわばそういう人生勉強が私達には覚えのあるもので、ああそうだったなあとなつかしい気にさせられる。

 ノラ・ジョーンズは恋人だった男が別の女性と交際をはじめたことを知って別れを決意する。彼に部屋のキーを返すため彼の行きつけの店らしいカフェを訪れる。直接は渡したくないのだろう。店のオーナーのジュード・ロウも閉店後に親切にノラの長話を聞いてやって引き受ける。実は彼もまた失恋して間もないらしい。この始まりの場面がいい。たぶんお互いに好印象を抱いたことが視聴者にはわかる。だがそこは互いに失恋中、ひっくりかえる可能性はほとんどないが、まだまだ未練を断ち切れないである。そうでなくても失恋の痛みにどっぷりと漬かることによって癒えるのを待たなければならない。失恋から立ち直るためにはそういう時間が必要なのだ。人間はどうやら感情において急カーブをきれない、大回りしなければ次の異性にはたどりつけないようにできているのだ。

 カフェのセットがいかにもオーナーの愛情がこめられた店作りのようで、ここでも私は好印象をもった。手狭ながら、透明ガラスにはメニューなのか宣伝文なのか手書きの文字が書きつけられているし、照明はブルーのようだ。装飾用の置物もいくつか。カフェや酒場のセットは殺風景なものが多くがっかりさせられることもあるが、このセットと色彩は引き込む。

 ノラ・ジョーンズはニューヨークを離れて旅に出る。今度は自分が酒場でアルバイトをすることになるが、そこでは常連客の警官ディヴィット・ストラザーンの未練たらたらの別れた妻へのつきまといを見る。やめときゃいいのに、とは私達のひと目見た感想でもあり、ノラ・ジョーンズのそれでもあるのだろう。恋愛とは魔物で、いったんその病にかかると好きな女性しかみえなくなる。その女のほかにもいっぱいいい女はいるのに、恋でなくても面白いことはいっぱいあるのにと傍では簡単にわかるのに執着を止めない。生真面目な人ほどその傾向におちいるのかもしれない。ましてやノラは彼の別れた妻のナタリー・ポートマンも知っていて、復縁する気はまったくないことを聞かされるのだ。やめときゃいいのにとは、ノラも同じ思いだろう。ノラは当然のようにストラザーンに同情し、忠告もするのだが……。人の恋愛の深刻な場面を目の当たりにすることは、自分のそれまでの恋愛をふりかえるよすがになるものだ。

 ノラはまた凛々しくカッコいい女性ギャンブラーとも出会うが、外見とはうらはらなものをそこに見てしまう。人はだれでも不幸を抱えこんでしまうことは知るのだ。そうするうちにジュード・ロウがノラの居場所をつきとめて電話をかけてくる。いい映画の要素のひとつとして、主人公を応援したくなる気に自然にさせられることがあるが、ここでもそうだった。はやくニューヨークへ帰れ!と私は思い、せかせかした。

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