大洋ボート

ディファイアンス

 今さらユダヤ人救出劇なんてと思いながら、カスタマー・レビューに高評価をつける人が多かったので足を運んだ。しかしやはり……という感じだ。

 第二次大戦下、ナチのユダヤ人狩りからかろうじて逃れてきたダニエル・グレイグをはじめとする三兄弟が森で偶然出会う。すでに両親は殺されていた。場所はベラルーシ。やがて迫害から逃れてきたユダヤ人の老若男女の同胞が森のあちこちからつぎつぎに姿をあらわしてくる。ダニエル・グレイグらは逃走のためには足手まといになると、最初は同一行動をためらったが、意を決して全員一緒の逃亡を開始する。その数は最終的には千人を越えた。

 ナチへの復讐を重視するか、それともあくまで逃亡優先か、というような内部の方針をめぐる確執がある。ソ連軍との共同行動をとるために集団を離脱する者もいる。また、食糧がつきかけたときグレイグは思い切って貴重な馬を殺して肉を全員に分ける。うしろめたさに蔽われたグレイグだったが、大喜びする人々を見て、気も晴れる。また、爆弾を投下されて死者が頻出し、ダニエル・グレイグが朦朧となって自信を喪失する場面もある。こういう劇の部分にはたしかにおもしろさはある。集団をリーダーとしてまとめることの難しさ、そこに要求される資質など、考えさせられる材料はある。だが戦車をまじえたナチとの銃撃戦のシーンはどうか、何回かあるが、これが三〇年も四〇年も前の戦争映画のようで工夫がなく、平凡で退屈といわざるをえない。

 巨悪のナチ、虐殺されるユダヤ人という対立図式はすでに歴史的にも映画の中でも定着した。だが現在のユダヤ人国家であるイスラエルはどうか。ナチとまったく同様のことをパレスチナ人にやってはいないだろうか。それを考えると「悲惨なユダヤ人」というこの映画のテーマには乗っていけないどころか反発さえ感じてしまうのだ。今後もときどきは、こうしたユダヤ人の「悲惨」をテーマとした映画はつくられるのかもしれない。しかしパレスチナに密着した映画はメジャーの映画会社は作りそうにない。記録映画など、ほそぼそとした創造はあるにせよ。これもまた映画をとりまく残念な現実だ。
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こんな兄弟がベラルーシにいたなんて・・ 2009.09.09 09:19
□作品オフィシャルサイト 「ディファイアンス」□監督・脚本 エドワード・ズウィック □脚本 クレイトン・フローマン?□原作 ネカマ・テク?□ キャスト ダニエル・クレイグ、リーヴ・シュレイバー、ジェイミー・ベル、アレクサ・ダヴァロス、アラン・コーデュナー、... 2009.03.06 22:27
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