大洋ボート

キャスト・アウェイ(2000/アメリカ)

キャスト・アウェイ [DVD]キャスト・アウェイ [DVD]
(2008/10/17)
トム・ハンクスヘレン・ハント

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 トム・ハンクスは国際的な宅急便会社の幹部で、荷物を搬送中の飛行機に同乗したさい墜落事故に遭う。そして彼一人だけが無人島に漂着して奇跡的に命を取り留める、という話。映画はこの無人島における彼の生活ぶりが大部分を占める。

 めったやたらに体験することではないが、話としてはこういうことは馴染みがある。水と食料を確保し、雨風をしのぐために小屋を作る、また火を起こす。生存のために最低限必要なことを試行錯誤のはてに成し遂げていく。それは心細さや寂しさに打ち勝っていく過程でもある、そして最終的には、流れ着いたアルミの大きな板を帆に利用して筏を組んで脱出するのだが、そこまでの生活ぶりの逐一がたいへんこまやかに描かれる。

 前後して漂着した飛行機の搬送物のいくつかのなかにバレーボールがあった。これに彼は顔の絵を描いて対話する。「顔」といっても彼が手を負傷したときの手形で、そこに目鼻を描きいれただけのもの。シンプルだが、彼の自暴自棄に陥りがちな自分を食い止め、なぐさめるためだ。身の回りにある精神にかかわるものといったらこれひとつだ。だがボールには島の生活の時間においては視聴者に明かされない意味があって、トム・ハンクスが生還したのちみずから明かす。また脱出を決意できたのは漂着物の「帆」のおかげだということも。その直前まで彼は無人島での生活をずっとつづけるつもりだった。偶然島の近くを航行する船に発見されることでも期待したのだろうか。これには重要な意味がある。外部によって私たちは自己内世界では思いつかない希望、積極性をはじめて知らされるということだ。トム・ハンクスのこの事後の説明によって無人島の生活があらたな角度でふりかえられる、この映画の巧みなところだ。

 生還しても彼の以前の居場所は、とくに家庭においては無くなっている。詳述はひかえるが、悲しい場面は島本理生の小説『ナラタージュ』を連想させた。

 島の風景で印象的だったところ。トムが海に面した山の高所に立ったときの海面。突きでた岸壁に向かって波が取り囲むように半円形になってゆっくりと押し寄せる。波頭の白の一本一本は直線だが、全体としては半円形である。不思議な眺めだった。トムは無言だが「俺はたいへんなところに来てしまった」とでも慨嘆しただろうか。
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『キャスト・アウェイ』世界宅配便フェデックスのシステム・エンジニアとして勤める、チャック・ノーランド(トム・ハンクス)。世界中を飛び回り、分刻みの正確な生活を送る仕事人間の彼は、恋人のケリー(ヘレン・ハント)と正月は一緒に過ごすことを約束し、飛行機に乗... 2009.02.20 10:09
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