大洋ボート

ゲットスマート

 お笑い系のスパイアクションで、諜報員のスティーブ・カレルが小さな失敗を繰りかえしながら、つまり笑わせながら任務をこなしていく。最後にはアメリカ本土での核爆発を未然に食い止める、というもの。行動を共にする女諜報員にはアン・ハサウェイ。

 笑いの質は古い。たとえば敵であるロシアの犯罪組織の住居に侵入したとき、ビーズ玉の暖簾がバラバラとほどける。苦笑するところだ。だが彼はあわてない。不思議そうに事態を把握しようとするだけだ。むしろ観客にどうぞ笑ってくださいといわんばかりにすましている、無表情を維持する、つまりは本人は絶対に笑わない。この間がいいのだが、従来から見慣れてきた間である。別に古いからつまらないというのではない。笑いの質が古いから安心できる、むしろもっとやってもらいたいという欲求が自然に生じてくるのだが、十分に応えてくれていない、その点が不満だ。七、八部くらいの力の入れようで、つまりは適度に力を抜いて「スマした間」で終始一貫しようというコンセプトなのかもしれない。派手なドタバタ喜劇にはしないということでもあるが、その狙いはいいとしても、スパイアクションの部分をかなり通常どおりに抱え込むことによって、十分には追求できなかった気がする。

 ロシアの成金犯罪者の豪邸でのダンスパーティの場面。アン・ハサウェィとその成金がペアで優雅に踊り、参加者に賛美される。嫉妬したスティーブ・カレルが、自分もいいところをみせてやろうとダンスの相手に指名したのがなんと小柄な彼を圧さんばかりの肥満の女性。一同が注目するなかでのダンスとなるのだが、ここは意外に笑えない。CGかワイヤーかを使ったトリック撮影でそれが鼻についた。楽をしている。この場面にかぎってはドタバタになってもいいからスティーブ・カレルはもっといじめられなければならない、汗をかかなければならないと思った。

 いいところはクライマックスの、実写とCGをおり混ぜたセスナによる犯人の車への追跡だ。ここへくると通常のアクション映画に変わってしまうが、見応えがある。犯人は核の時限装置を積み、アン・ハサウェイを車のサッシに手錠で括りつけて爆走。そこへセスナから車へなんとか移動しようとするスティーブ。そしてやっと飛び移り、車内での格闘……。一連の過程は、実際にこんなことをやれば何回死んでもおかしくはないという場面の連続。だがそこは承知のうえ。CGというと、人間の肉体表現を安易に省略してしまうきらいはあるが、まだ始まったばかりという気もする。そこは職人芸で欠点を克服し、これからもどんどん進化させていってもらいたい、そんな期待を抱かせるクライマックスだった。ダンスパーティの場面でのCG(もしくはワイヤー)の使用とは質のちがいを感得した。

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