大洋ボート

グッド・シェパード(2007/アメリカ)

グッド・シェパードグッド・シェパード
(2008/12/04)
マット・デイモン・アンジェリーナ・ジョリー

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 マット・デイモンという人は「無表情の表情」がすっかり板についてしまった。「ボーン・シリーズ」や「ディパーデッド」というスパイものに立てつづけに出演してコツをつかんだのだろうか。「無表情」といってもそれは上辺で、見た目であるが、その奥底にはさまざまな感情がうずまいて「無表情」を突き破ろうとする。ときにはマット・デイモンに無表情と表情が二重になったさまを見る思いがするが、「表情」が前面に出ることはない。それほど固い「無表情」である。そういうマット・デイモンが見られるところが、この映画の一番の売りか。

 物語は第二次大戦の時代に、マットがCIAの創設に関わってやがて「順調」に幹部にのぼりつめて一九六〇年代初めのピックス湾(キューバ)侵攻作戦に関わるまでを描く。なるほど諜報組織は冷酷無残だ。長年貢献した人物でも組織運営に支障をきたすととるとあっさり殺してしまう。「知りすぎた男」であるからでもあるが、マットが同僚とともにその実行もためらわずにくだんの男に近づくと、すでに別働隊が準備万端で先を越して動いている、といったありさまだ。国家組織だから殺人の一つや二つ(もっと)は容易に闇に葬ることができると、映画は主張したいのだろう。

 きわめつけの場面がある。ソ連の軍幹部が亡命を申し出るためにCIAに面会に来る。自信家で楽天的な男だ。先にアメリカに亡命した××という男が贋者で自分が本物だと主張する。そんな馬鹿なことがあるものかと、自分たちがコケにされたと面会担当者はすっかりのぼせあがる。詳しくは書かないが、そのソ連軍人はまるで虫けら同様の残酷な仕打ちを受ける。マット・デイモンらも別室から覗いているが、ここはさすがにぞっとさせる。

 疑問だったことがある。ピックス湾侵攻作戦が事前の情報漏れによって頓挫したような描き方だが、真相はそうではないだろう。一五〇〇人という上陸作戦の規模があまりにも小さすぎたからだ。その程度の部隊でキューバ軍を打倒すべくもないのだ。作戦に積極的なCIAと消極的なときのケネディ大統領の対立があったとは、スパイ小説家フリーマントルの『CIA』という本で読んだ。

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