大洋ボート

悶絶!! どんでん返し(1977/日本)

悶絶!!どんでん返し悶絶!!どんでん返し
(2005/12/22)
谷ナオミ宮井えりな

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 浦島太郎ではないが、昨日までのめくるめき世界にはどうしたってもどれない。そんな若い男の寂しさ、落とし穴にストンと落とされたような意外さがよく出た佳作。彼はオカマとしての生活が周囲にも助けられてすっかり身についてしまい、自分の本姓を発見したつもりになって幸福そのものだったが、本人以外の人にとってはそれほど真剣なものではなく、一時的な遊興の世界だったのだ。こういう食いちがいは勿論オカマの世界に限らない。私たちの身の上にも起こりそうな話にちがいない。

 若いサラリーマンの鶴岡修はピンクサロンのホステスの谷ナオミとすっかり仲良しになって、店が跳ねたあと酒の勢いも手伝って、二人で谷の住むアパートになだれ込む。だがそこには当然と言うべきか、谷の夫の遠藤征慈がいる。普段なら美人局も得意なチンピラヤクザの彼だから、鶴岡から金を巻き上げることもできようが、遠藤は若い鶴岡をひと目見て気に入ってしまい、部屋に入れておろおろする谷ナオミが見る前で鶴岡を「犯して」しまう。さんざんな目にあった鶴岡だが、これで遠藤とはすっかり縁が切れると安心したのも束の間、偶然にも遠藤の管理する売春組織の女を買ってしまい、そこで遠藤と鉢合わせになって、またもや「犯されて」しまうのだ。

 この二回目の偶然はシナリオとしては安易でいただけない。だが二回「犯される」ことによって、その世界の恍惚を覚えるというのは、その世界のことはまるで私は知らないが、いかにもありそうで、なるほどと思う。

 このあとの鶴岡修は命じられるもでもなく女装にのめりこんで、遠藤征慈の傍にどっかり落ちついてしまう。谷ナオミも入れて三人でセックスをするが、男二人があまり仲がいいので、谷はやきもちを焼く。これもありそうだ。また若い女が集まる売春組織も彼のねぐら同然となり、オカマの鶴岡が若い女を「やさしく」抱くことにもなる。さらには遠藤が手下とともに女たちを裸にして強引にある種の技を調教する場面がある。これは具体的には書かないが、神代辰巳監督ならではでもあるが、このころつくられたロマンポルノや東映のポルノ系の映画によく見られるの卑小で猥雑で子どもっぽい世界で、苦笑すること受けあいだ。サラリーマン生活を捨ててこういう世界に入りびたる鶴岡は勿論幸福そのもの、何が来たってこわくないという姿勢で、どっしりとかまえる。

 だがこの小さな集まりにもたそがれが来て終わりが来る。客の老人が腹上死してしまう。この事件では全員で埋立地へ遺体を運んで埋めてしまって事なきを得るが、さらにもう一度、取り調べに来た刑事を遠藤が刺してしまった。(ここでも死亡事件が「二回目」であることが応えている)すわっ、逃亡だというときに、鶴岡は足手まといにされて追い出されるのだ。つまり遠藤は長年連れ添った谷ナオミのほうを、情からして当然とはいえ選ぶ。遠藤は鶴岡を「愛して」なんかいなかった。束の間の遊興の相手でしかなかったのだ。それを痛切に知ったときの鶴岡ときたら、ほんとうに竜宮城から追い出された浦島みたいで哀れを誘う。

 惜しむらくは、谷ナオミをのぞいては俳優としてほとんどの人が未熟だということか。もっと面白おかしく芝居すればいいのにと思う。『黒薔薇昇天』に出た岸田森あたりをもってくれば安心して見られただろうに。


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