大洋ボート

バットマン(1989/アメリカ)

バットマンバットマン
(2000/04/21)
マイケル・キートンジャック・ニコルソン

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 このシリーズは最新作の『ダークナイト』をはじめ何本か見たが、しっくりこない思いが残った。どうしてだろう、たぶん、単純明快なヒーローアクションとの先入見がどこかにあった。痛快さをもとめていたのだ。だがそれほどのものはえられなかった。わたしはまちがっていたらしい。製作者の意図はわたしの先入見とは少しずれたところにあった。このシリーズ第一作を見てようやく納得できた気になった。

 マイケル・キートンのバットマンよりも、悪役のジャック・ニコルソンのジョーカーを主役に見立てたほうが見やすくなるのだ。彼は架空の都市ゴッサムシティを恐怖におとしいれる犯罪集団の頂点に立つ男だが、犯罪の被害を真面目に受け取って憤慨するよりも、彼のいじめっぷりを苦笑しながら楽しめばよいのだ。いじめはよくないし、いじめられるのも御免だ。だが私たちの心のなかには正直なところ、いじめを面白く思ってしまう感性が十のうち二、三割は残っているのではないか。その感性をジャック・ニコルソンは見事に、醜悪さをもあわせて引き出してくれる。「いじめは面白い」というひん曲がった人格を芝居っ気たっぷりに見せてくれる。よくあれだけ痛快さを響かせる笑い声がつづくものだと感心させられる。

 なかでも、美術館にかざられた歴史的名画のかずかずを落書きしたり、ペンキで塗りたくる場面は秀逸だ。白塗りの顔に、ベレー帽にスーツにブーツという狂ったコスチュームで、ダンスミュージックにあわせて軽く踊りも交えながら、例のけたたましい笑いでやっていく。手下がでかいラジカセをもってついていくのだ。だからといって無論、ジョーカーに心底共感できるというもでもないが。

 バットマンはたしかに強い。空を飛ぶことができるし、弩級の戦闘車両も駆使する。だが手下とばかりの格闘で、ジョーカーにはなかなか追いつけない。そうこうするうちに、ジョーカーの仕掛けた毒入り化粧品で女性がばたばた死んでいく。(その死に様がまた苦笑ものだ)それに彼は普段は青白さの残るブルジョアのお坊ちゃまで、老いた執事とともに豪邸で孤独に暮らしている。その表情に憔悴の色が浮かぶとき、してやったりというジョーカーの「痛快」さの目で私は見させられた。勧善懲悪の原則ははずせないのか、ジョーカーにも最後がくるが、それでもマイケル・キートン(バットマン)にとっては、やっとこさの感がある。

 単純で明朗で絶対的に強い。こういうヒーローの活躍する時代はとっくの昔終わったのかもしれない。

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Хå??(1989)α???Хå??????Хå????Ω???åΥ??Хå??γSF?Ĥ?????塼?????Υ??С????å???... 2009.02.11 16:09
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