大洋ボート

雲南の花嫁

 昨年公開された『雲南の少女 ルオマの初恋』がいい思い出を残してくれたので、同じチアン・チアルイが監督ということもあり見たが、ちょっと期待はずれだった。『少女』の主演女優リー・ミンのピュアな空気が素晴らしく、作品全体の空気までにもなっていたが、『花嫁』のチャン・チンチューはそこまでには至ってはいない。前者のリー・ミンは計算以上の効果をかもし出していた。新人女優と新進女優のちがいということか。

 この作品への不満を挙げておこう。少数民族のイ族は結婚した男女は三年間別居しなければならないというしきたりがあるのだという。チラシにもこれが書いてあったので、そういうしきたりに苦しむ若い男女の物語かなと思ったが、ちがっていた。まったく苦しみがない。というのもチャン・チンチューがお転婆ぶりをいかんなく発揮して花婿のイン・シャオティエンに会いに行くからだ。たがいの身内にもすぐに知れわたるが、「親の恥だ」と身内は嘆くだけだ。強制力を持って二人を引き剥がすことはない。その一家が村八分にあうこともないし、それを咎める地域の法規があるのでもないらしい。これは拍子抜けした。勿論そういうしきたりはないほうが若い男女にとっては自然だし、現代社会としても好ましい。だがそういうこととは別に、それではこの映画が描こうとしたしきたりとは何なのか、単に形骸化してしまったものの名残なのか、いっこうにわからない。設定の意図もわからない。

 イン・シャオティエンは十人たらずの若い女性で構成する竜舞隊の教官をしている。竜の人形をメンバーが一本ずつの竿で掲げて竜の動きを創りだす舞踊である。テレビ映像で見た人も多いだろう。チャン・チンチューはここにも押しかけていってメンバーの一員になってしまう。ここまできたらしきたりなどなんのその。彼女はリーダー的存在にまでなってしまう。さらにメンバーの一人の窮状を救うために夫には無断で、ビール会社の広告のために竜舞隊を使う。出演料をその女性の親の借金にあてるためだ。これも竜舞隊としてはしきたり違反である。夫は当然激怒するのだが、ここでも社会や地域の反応がつかめない。若い夫婦の喧嘩という以上には見えない。

 悪口ばかり書いたが、好印象をもたらしてくれた要素もある。棚田こそ出てこないが、雲南の手付かずの自然やら古い家並みやら寺院やら。それに赤を基調にした華麗な民族衣装も見どころ。雲南省はベトナムに国境をせっしているが、私には中央アジアの系統の衣装に見えた。

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