大洋ボート

あいつと私(1961/日本)

あいつと私あいつと私
(2005/07/08)
石原裕次郎宮口精二

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 石原裕次郎と芦川いづみは大学のクラスメイト。二人は惹かれあうが、つきあううちに石原の性に関する出来事を芦川は知る。さらに最終的には石原の出生の秘密も知ることになる……。というわけで二人の恋愛関係が中心の映画だが、クラスメイトは大勢いてにぎやかだ。中原早苗、笹森礼子、高田敏江、男性では小沢昭一、伊藤孝雄ら。時代はちょうど一九六〇年の安保反対闘争の真っ最中で、彼ら若い世代の安保へのエネルギッシュな関わりも背景として描かれる。「アンポハンタイ」が流行語にもなって反対運動が盛り上がりをみせた時期だった。それにまた石原の母の轟夕紀子の異常なキャリアウーマンぶりもこだわって描かれる。デザイナーとしてトップの地位をきわめるが、夫がありながら乱れた性関係をやめようともしない。夫の宮口精二はそのつど家出の構えをみせるのだが……。喜劇タッチの部分が多く、また話をつめこみすぎたきらいがあるがいが、若い世代への応援歌というところか。

 原作は石坂洋二郎。石坂の本は読んだことがあるが、恋愛と性への好奇心をくすぐるものが多く、人気作家であったようだ。一九五〇年代あたりでは、若い人の多くが自由に恋愛をできたのではなかった。つまり見合い結婚が主流の時代だった。恋愛結婚が見合いを追い越して五割を超えるのは、七〇年代に入ってからだと記憶している。それだけ恋愛への憧れが強い時代に石坂文学はもてはやされ、やがて若い人たちが身を持って果敢にそれを実践して行くなかで、石坂文学はしだいに飽きられたのではないだろうか。この映画でも、恋愛は危険であるが、自由があり魅力があるという主張はよく届いている。何よりも石原裕次郎と芦川いづみというペアの外見の魅力によって十分に届いている。石原は当時二六歳だが、主演俳優としての明るさと貫禄は十分で、これだけ堂々とした二六歳は日本中さがしてもざらにはいないだろう。また芦川はショートカットが可憐。私がファンだからでもあるが。

 若い人への賛歌ということだが、あえて苦言を呈せば、このころから(数年先でもあるが)若い人はしだいに映画館へ足を運ばなくなった。テレビの影響は勿論、ロックやフォークなどの外国の音楽文化に魅了された部分が大きい。結果からいうと、若い世代に秋波を送るだけではなしに刺激を与えるものが映画界に欲しかったのだが、この映画もその点では不足という気がしないでもない。辛いか。五〇年代後半の映画全盛期の勢いは引きずっているが。

 蛇足。小沢昭一はここでもアドリブ(たぶん)をみせてくれた。結婚式の披露宴に学生服で出席し、ボーイを引き止めて白ワインか何かを立てつづけにおかわりするのだ。
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