大洋ボート

霧笛が俺を呼んでいる(1960/日本)

霧笛が俺を呼んでいる 霧笛が俺を呼んでいる
赤木圭一郎 (2002/09/27)
日活

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 船員の赤城圭一郎が長い航海を終えて横浜港に着く。旧友の葉山良二を訪ねたが死亡した後だった。だが腑に落ちない想いを抱いた赤城は、葉山の元恋人の芦川いづみとともに葉山の周辺を探る。すでに警察も葉山の死を疑問視して捜査にのりだしていた。

 イギリス映画『第三の男』がネタ元であるといわれている。赤城がジョセフ・コットン、葉山がオーソン・ウェルズ、そして芦川がアリダ・バリにあたる。ネタバラシになるが、葉山良二は実際は生きていて稀代の悪党であることは『第三の男』のオーソン・ウェルズとまったく同じ。ちがいは女性のありかたで、アリダ・バリが愛情の意志を頑固なまでに押し通すのに対して、芦川いづみの方は最後まで曖昧模糊としている点だ。

 芦川いづみは終始判で押したように無表情だ。恋人の死を堪えているようでもあり、その面影を静かに偲ぶようでもある。だが、葉山と対面する場面でも驚きは最小限だ。葉山の生存をうすうす感づいていたのではないか、と思われても不思議ではない。また葉山を憎むでもなく、かといって擁護するでもなく、なりゆき任せでどういうわけかその無表情を崩そうとはしない。また仲良くなりかけた赤城圭一郎と結ばれることもないし、その意志も見られない。

 だが鑑賞者は、こういう芦川いづみに不思議に納得させられる。赤城と葉山の両者に対して、芦川は異性というよりも母性的な存在に見えてきて、そこに魅力的な安定感があるのだ。荒くれ男がたむろする港町で、カラフルなコスチュームに身を包んで、ちょっと茫洋とした雰囲気で佇む芦川いづみ。性格描写が物足りなくても、何というか、日本的な落ち着きがあるのではないか。作品自体は平凡であっても、書いたような芦川いづみの魅力によってこの映画は支えられている。
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