大洋ボート

港にて

海辺にはすぐにでも行ける
海辺の街にはどこにでも港があり
わたしは港をぶらっと訪ねるのが好きだ

「出口の貌」を見せる港
今日も貨物船は停泊し
くすんだ艦首の原色の塗料は
老いさらばえた獣の横顔のようでもある
だらんとした鬣
凪いだ海
凪いだ海の虹色のオイルの曖昧さ
その「出口」じゃないんだよ

入り口ならいくつもあって
わたしはそのうちのどれかひとつの港から上陸したのだが
足の裏の白いタイル……
記憶はきわめて曖昧で
そんなことは別にどうでもよくて
ここにこうしているしかないという真実だけが重要で
真実といっても「帽子の霧」とともにあり……
                     
製粉工場の銀色のタンクは
遍満たる陽を浴びている
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