最高の人生の見つけ方

 目新しさを期待すると裏切られるかもしれない。しかし、心地よさが見終わったあと、少しずつ湧いてくる。金や地位よりも家族のつながりのほうが大事だという、ハリウッド映画でくりかえし描かれる中心線のようなものが、ここでも守られている。

 モーガン・フリーマンは自動車修理の自営業者。ジャック・ニコルソンは資産家の社長で、企業買収を次々に仕掛ける。その二人がガン宣告を受けて同じ病室に入れられて療養に専念する。そこが話のはじまりで、もっと落胆してじめじめしてもよさそうなものだが、案外それは少ない。喜劇仕立てなのだが、私が日本人であるせいなのか、にんまりするよりも不思議な感じにとらえられる。二人の強さでもあるのか、日本人にはこういう発想ができにくいからかもしれない。

 二人は意気投合して、死ぬまでにやりたいことをやってしまおうということで、世界旅行に出かける。ピラミッドに登ったり、香港の夜景を満喫したり、うまい料理と酒を堪能したりと。だがそれらは、どうしてもやってしまわなければならないというほど、切羽詰った思いではない。モーガン・フリーマンは頭脳明晰ながら大学進学をあきらめた、しかし子供を一人前に育て上げた、孫もできた、という自負がある。ジャック・ニコルソンは結婚、離婚を4回した。これも挑戦しつくしたという感慨がある。やるべきことはやり終えて、いつ死んでもいいという達観がある。「やりたいこと」はおまけみたいなものだ。また、目標の一つ「世界一の美女とキスする」は、ふたりにとってはそれぞれ願いでもあり関所でもある。二者二様に思いを果たしたことになり興味深いが、この結末はまったく意外性がない、ああ、そうなんだろうなあ、と私は充分に納得できた。

 ジャック・ニコルソンは芝居を抑制しているように見えた。モーガン・フリーマンを盛り立てるためであろうか。「ディパーテッド」ではマット・デイモンとレオナルド・ディカプリオの主演二人をやはり意識してか抑制気味にみえた。勿論、映画によっては、芝居を思い切りふくらませることもできる人である。映画全体を見渡してバランスをとることのできる俳優ではないだろうか。
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