大洋ボート

ティファニーで朝食を(1961/アメリカ)

ティファニーで朝食をティファニーで朝食を
(2006/04/21)
オードリー・ヘプバーン、ジョージ・ペパード 他

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 オードリー・ヘップバーンの悲しげな表情が印象に残る。「ローマの休日」とはちがった彼女が見られる。

 早朝のニューヨークの中心街。イヴニングドレスに濃いサングラスをかけたオードリーがタクシーから降り立つ。そこは宝石店ティファニーで、当然まだ店は開いていない。わずかに小さなショウウィンドウがのぞくことができる。紙袋から何か取りだして口に入れながら興味津々の様子で見ている、もっともこういうことは初めてではなく慣れた様子だ。のちに彼女は「ティファニーには不幸が無い」というようにその店に無類のあこがれを抱いていることがわかる。冒頭のこの場面からでもオードリーの演じる女性の一風変わった生活ぶりが窺い知れる。ここへ来るまでどこで何をして過ごしていたのか、わからない。

 オードリーはやがて同じアパートに引っ越してきた作家志望の青年ジョージ・ペパードと仲良くなり、その交際の進展ぶりとともに彼女の秘密が少しずつ明るみに出される。マフィアの親分に面会するために刑務所に定期的に行って報酬をもらったり、高額の接待費らしきものを男からもらいながら途中で逃げて男を怒らせたり、女優志望でもあるらしく面識のある映画会社の幹部のはからいで大勢の有名人を自宅に呼んでパーティをひらいたりと、とても普通の生活ぶりではない。ジョージ・ペパードはそんな彼女を売春婦ではないかと疑い口にしてなじるが、オードリーは彼をまじまじと見返しながらも否定はしない。売春する場面は直接には出てこないのでそうだとは断定するのもためらわれるが、いかがわしい生業であることは確かなようだ。もっともジョージ・ペパードも富豪夫人と肉体関係を持ち貢がれているから、そういう勘がはたらくのも無理はないのだ。さらに、オードリーの同情すべき過去のことにまで映画はふれるが……。

 富豪との結婚を夢見て、そこにしか脱出路はないと決め込むオードリーに対して「自分という檻からは一生逃れることはできない」と諭すジョージ。それはプロポーズの言葉もかねていて、いささか急激にラヴ・ストーリーへと展開していく。一旦は外へ放り出した飼い猫を探しにタクシーから雨中の町に二人が出る、テレビで見覚えのある場面である。

 私の感想は、はじめに書いたようにオードリー・ヘップバーンの悲しげな表情が、それだけが突出して記憶に残った。映画のなかで彼女の人物像の説明が積みかさねられるが、そこから来た「悲しみ」だけとも思いたくないという欲求が私にはたらく。泥まみれにならず、どこまでも優雅さを引きずってしまうこの女優の資質にあずかるところが大きいのだろう。そして少し飛躍させると、女優とは役柄にはまりきらないところでもその魅力を発揮する存在なのだろう。勿論オードリー・ヘップバーンも女優業と人生でキャリアをかさねた。「ローマの休日」のときには考えられなかった表情と姿勢が、この映画にはある。

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