大洋ボート

ジェシー・ジェームズの暗殺

 いい映画なんだろうなあと、片方の頭で思いながら、どうしても乗っていけない作品に出会うことがある。これがそうだった。少し前なら「ジャーヘッド」だろうか。自分の鑑賞眼はヘボではないかと疑ったりする。

 カメラはブラッド・ピット演じる主人公ジェシー・ジェームズを執拗に追っていく。南北戦争前後に実在した強盗殺人犯で、当時から大衆的人気があったという。現在もその人気はアメリカでつづいているらしい。しかし私は、ちらほら西部劇で名前を耳にしただけでまったく知らないので、興味の持ちようがない。話は少しずれるが、七〇年代にワイアット・アープを、ひ弱で小心者に描いた作品があった。題名も出演者も忘れてしまったが、名作西部劇でアープを知っていたので、固定観念がこわされてたいへん興味深かった。そんな予備知識のあるなしが関係するのかもしれない。

 映画はいいムードで進行する。冗談や猥談をしてうちとけあって団結を図る強盗仲間。それに雨が少なく樹木が大きく育たないアメリカ中部の平原。たまに雨が降ると泥濘状態が長くつづく都市や野原の道。一九世紀のアメリカはこんなだったろうなあと思わせる。列車強盗の場面もあるが、犯罪をあつかうにしては全体的に静かだ。

 ジェシー・ジェームズは激昂すると引き金を引くのをためらわない男らしい。子供にさえも口を割らせようとしてリンチ寸前までいたぶって、仲間に止められるくらいだ。その仲間にも猜疑の目を向けることを忘れない。動物的な勘が鋭いといえば、いい表現になるが。家族思いの面なども描かれるが、重犯罪者にはちがいない。ブラッド・ピットがいくら熱演しても、この人物が私には魅力的に見えないのだ。

 ほっとしたのは、そんなブラッド・ピットが猜疑心を抱き続ける日常に疲れたのか、ガンベルトを腰からはずすところ。視聴者に近づいてくれたように思えた。しかしその直後に彼は題名どおりに「暗殺」されるのだ。銃撃したのは彼を慕って仲間入りした青年(ケイシー・アフレック)。青年もまた殺されるのではないかとびくついていたから、チャンスとみたのだ。

 映画はむしろ、この後の展開のほうががたいへんおもしろい。暗殺者として有名になった青年は、瓢箪から駒のように出世のチャンスをえて天にも昇る気分になるのだが……。
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