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プラダを着た悪魔(2006/アメリカ)

プラダを着た悪魔 (特別編) (ベストヒット・セレクション) プラダを着た悪魔 (特別編) (ベストヒット・セレクション)
メリル・ストリープ (2007/11/21)
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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 メリル・ストリーブという女優は画面に自分がどう映るかが見える人ではないか。内面の演技とはよく言われるのかもしれないが、それが表に出なかったらどうしようもない。表に出たもの、映画なら映像という外見を通じて、その立ち居振る舞いや表情をとおして、視聴者はその俳優(女優)の内面なら内面をおしはかろうとする。だから映画やもしかしたら俳優自身が要求する内面にふさわしい外面を定着できればよい、内面がなくても外面さえしっかりしていればよい、ということになる。メリル・ストリーブはそういうことをよく知っているのではないか、と思った。この映画の場合は、冷たくて頑丈そうだという外見が要求されるが、この女優は力を抜いてあっさりとそれを実現させている。

 メリルの役は「ランウェイ」という有名ファッション雑誌の編集長。日本で出版されているその類の雑誌とちがって、大きな自社ビルを持ち、専属のデザイナーやモデルも持ち、勇名ブランドメーカーとも商業上のつながりがあり、おおきなイベントも開催し、というような大規模なものらしい。そこの編集長だから一目も二目も置かれる存在で、はやりの言葉で言えば「セレブ」なのだ。当然出社時のファッションも豪華そのもの。(この辺の事情に私はうとい)そして、その編集長の第二秘書として新しく入社してくるのがアン・ハサウェイ。メリルの秘書に対する要求はきつい。仕事の効率を優先するためか、社員教育における信念なのか、「セレブ」は「セレブ」らしく目立つようにふるまわなくてはならないとでも考えるのか、無理難題をつぎつぎと命じる。どこそこの店へ行ってあれを買って何時何分までに届けろ、というような指令を矢継ぎ早に出す。アン・ハサウェイはてんてこまい。悪天候の日に飛行機をチャーターしろ、ハリーポッターの未発売の原稿を手に入れろという無理難題も。アンはどうなりこうなりこなしていき、ダサかったファッションセンスも身につけていくのだが……。

 アメリカ企業における労働の猛烈さ、上下関係のおどろくべき落差、戯画化されているもののその分を差し引けば、これは実情に近いのかもしれないとも思った。また忙しくなると私生活にトラブルを抱えることになる、相談した重役に「君は今、出世の最中だ」というような喜んでいいのかわからない助言をもらうが、これは普遍的な事情だろう。どこの国でもそうやって出世したい人は出世する。後半は、メリルが実は家庭を大事に思って気に病む人であること、彼女もまたサラリーマンでトップの意向に逆らえないこと、アンも私生活を優先させる方向に舵を切ることなどが描かれ、二人は理解を深め合い、ということで人情劇っぽくなる。これはアメリカのフィクションというもう一方の特徴かもしれないと思った。前半がすぐれていて、ある種爽快さを受けとった。

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20世紀フォックス20世紀フォックス(にじっせいき-、Twentieth Century Fox Film)は、アメリカ合衆国|アメリカ・ロサンゼルスを拠点とする映画会社の一覧|映画会社・映画スタジオ。ルパート・マードック率いるニューズ・コーポレーションの傘下である。.wikilis{font-si 2007.12.08 17:51
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