大洋ボート

ボーン・アルティメイタム

 劇場で映画をみる魅力は大画面の映像であるとともに、音響の迫力ある伝わり方だろう。映像もそうだが、一昔前に比べるとその心地よい響きは格段の進歩がある。いいものならよりよく響かせてくれ視聴者を魅了する、ということだろう。本作であるが、映画音楽としてたいへんいい位置を占めている。視聴者を煽り、かるく興奮させ、緊張を心地よいものにして持続させてくれる。とくに最近のアクション映画は銃砲の発射や炸裂の音、物がぶつかり合う音、などの音響のリアルさが重視され、さらに人の悲鳴などもくわわって音楽が遠慮していた、音響に対して従属的であった。それが今ふたたび映像と肩をならべた感がある。音響が逆に控えめだが、かえって新鮮だ。

 007シリーズでも何でもいいが、昔の映画ではひとつの作品のなかで映像と音楽が棲み分けがされていた。映像が単調な場面であったり山場を過ぎたときに、音楽がここぞとばかりになんらかの役目を負って鳴り響くというように。勿論、両者が同時的に進行する場合がなかったわけではない。それに昔の映画では作品固有の主メロディがあり、さらにサブのメロディというようにメロディ創作が音楽家によって重視されていた。だが本作は音楽と映像がほとんどの場面で同時進行であり、メロディらしきものはなく、弦楽器と打楽器のリズムの刻みのみで押し通していく。それでいてハマッたように成功しているのだ。

 ロンドン、タンジール、ニューヨークと山場は三つ。ロンドンの章がいちばん盛り上がる。逃げるマット・デイモン(役名ジェイソン・ボーン)を追うCIA捜査官の面々、さらにCIA局長のデヴィッド・ストラザーンが陣頭指揮する管制室。何台もの隠しカメラによる映像が大写しされる。さらに連絡やデータ検索のためにパソコンに向く何人もの職員。デイモンと待ち合わせをする新聞記者のあらゆる連絡手段、つまりパソコン、固定電話、携帯電話には、周到に盗聴網がはられている。矢継ぎ早に指令を出す局長。だがこれだけの大所帯でも捕まえられない。人がごったがえす大都会の真っ只中で、デイモンは新聞記者と擦れ違いざま、彼のポケットに別の携帯をしのばせる。これで盗聴は不可能となる。いくら網を大げさにしぼっても抜け穴はあるのだ。ここは痛快。あとはマット・デイモンの超人的な活躍を楽しめばいい。彼は記憶をなくした男で、たんに逃げるだけでなく、その謎をも解くための行動であるが、終わりになって見事に解決する。

 後半にかけて荒くなって、ちょっと飽きが来そうになるが、そうさせないのが例のリズムをスリリングに刻む音楽。これが鳴りっぱなしで私は楽しかった。デヴィッド・ストラザーンという俳優は『グッドナイト&グッドラック』で主演だったが、がらりと変わった趣きでいい味を出していた。

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