大洋ボート

天然コケッコー

 山間の僻地の町が舞台。小中学生あわせて六人しかいない学校に男子中学生が転向してくる。映画はこの男の子と主人公の女生徒との初恋を軸に、子供同士の仲のよさも描き出す。

 私から見れば嘘っぽい世界だ。だからといってないがしろにしてはいけない。どっしりとした理念が根底にあるからこそ、私個人にとって、とくに私の少年時代に照らし合わせてみての嘘っぽさである。つまり私は、ここに登場する子供にはとおく及ばない凡庸な子供であったということだ。

 女生徒の夏帆は最上級生で、教室でおしっこをしてしまった小学生のパンツをあらってやる。最初のほうにでてくる場面だが、これは立派ではあるが、生徒数が極端にすくないと、そういう互助のはたらきも生まれやすいものかなあ、と思ってしまった。だが脱帽した場面がいくつかあった。

 その近辺の公立高校では男子は丸刈りにしなければならない。規則でそうなっている。上級生の進学時のその様子を思い浮かべながら、黒板に似顔絵を書く下級生たち。長髪の男の子が丸坊主になってしまう様子はたしかにおかしい。笑っても仕方ない。だが子供たちは、それでは可哀想と思ってか、帽子を書き加えて坊主頭を隠してやるのだ。こんな思いやりは、私の少年時にはなかった。坊主頭を見て笑うことは確かだろう。そのあとは似顔絵の当人に見られることを心配して、消してしまうのかもしれないが、それ以上のことはできなかっただろう。

 夏帆はさらに並みの女子中学生とはとても思われないような思いやりと機転を見せてくれる。バレンタイン・チョコを男子中学生に渡そうとする場面だ。ほかの女子二人もチョコを渡したいと夏帆に申し出て、夏帆もこころよく承諾する。男の子は夏帆のおさない弟と一緒に町の食堂にいる。弟が居ることを夏帆は知らなかった。弟にもチョコを渡さないと泣いてしまうことを心配し、食堂に入ることをためらう。しばし三人で相談したのち、三人は食堂へ入る。弟にも三人でチョコを渡すことにしたのだ。ここも、おそれいったと言うしかない。中学生時の私なら、どうだろうか。そういう機転を働かせることができただろうか。できたのかもしれないが、百パーセントできたという自信はない。

 こういう生徒同士なら、いじめなど起きようはずもない。ユートピア的人間関係と呼ぶべきだろうか。ほかにも魅力ある場面がある。

 ラストはファースト・キス。性の目覚めを自己肯定しつつも、たいへん遠慮深く、清楚で、しっかりしている。たじろがない。書いてきたような確固とした土台があるからこそ、それも納得できる。
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