大洋ボート

蘇る金狼(1979/日本)

蘇える金狼 蘇える金狼
松田優作、風吹ジュン 他 (2000/12/22)
PI,ASM/角川書店

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 松田優作は平凡なサラリーマンを装っている。黒縁の眼鏡で、陰気でおとなしい印象だ。だが実際は犯罪者。現金輸送車を襲撃して一億円を強奪した。さらにその紙幣が、ナンバーがすべて控えられていると知ると、その資金でヘロインを買おうとしてヤクザに接近する。また、このこととは別に、彼の勤める会社は社長以下幹部連中の横領の噂が絶えない。そこで会社幹部の成田三樹夫の愛人である風吹ジュンに接近し、肉体関係を作ったうえで情報を探る。

 つまり、松田は金と権力と女に眼がない。それを手に入れるためには手段を選ばない悪漢である。不都合だと思えば、ホールドアップした男でさえも、あっさりと射殺してしまう。女でも麻薬漬けにしたうえで、セックスで篭絡してしまう。なんだか嘘っぽい痛快さがある。成田三樹夫、小池朝雄、佐藤慶などが、松田のあまりの強さに腰を抜かそうかというくらいに狼狽してしまうところも、この映画独特の味わいがあって面白い。

 望みのすべてを手に入れて、スーパーカーに乗りながら哄笑する松田を見て、植木等の無責任シリーズの悪徳版かとも思ったが、まだ展開が残されていた。男女間の情愛の問題だ。高飛びしようとしたところへ風吹ジュンがやってくる……。

 ここまで書いてきて別のことを言うのもおかしいが、映画の内容はともかくとして、一番印象に残るのは、松田優作という俳優の不思議さだ。役になりきろうとして、終始無表情で押し通すが、それがみずからの役柄全般に対する「否」を示す表情に見えてしまう。演技の未成熟とばかりはいえない部分が感じられた。強さの裏にある弱さとナイーヴさとでも言おうか。映画は、最終的には俳優の表情で決まってしまうというところがある。魅力的とまでは私には言い切れないが、引っかかってくるものがあった。
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