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大洋ボート

告白

わたしは長生きした
肥った
肉塊の海に棲むものは何か
鋼鉄や鮫ではないだろう
わたしはひとりでに傲慢を身に着けた
これからをたっぷり楽しみたいので
本も読みたいので
あなたの糾弾は撥ねつける
ピンセットで拾い集めるように
わたしの罪状を逐一並べ立てても無駄だ
わたしの専権事項だそれは
墓場まで持っていくこともできようし
こちらにはこちらの言い分があるというものだ
洗いざらいの告白はしない 
つまらないことばかりだから
羞恥を繰りかえすばかりだから
痛みは無い傲慢だから
罰されることを拒否する
わたしの肉塊にあなたが棲み着くことは許そう
あなたの家を建ててやろう
折にふれ磁針がはげしく揺れるにしても




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沈没船

紙の顔の男
棒杭のように
標識のように突っ立っている
夢とうつつのあわい
沈没船のデッキに突っ立っている

ゆるやかな潮の流れに皮膚を
少しずつ少しずつ浸食させながら
境界を曖昧にしながら
潮に抗するでもなく委ねるでもなく
突っ立っている紙の顔の男
手綱らしきものを右手にぶらさげているが
遊び相手の犬は居ない

どうしたことか
滅亡しても滅亡しきれない
安らかに死なせてくれない
いたずらまがいに
天国のだれかが打ち込んだ宿運の火の楔か
潮に浸されてどんどん縮小していくものがある
膨張するものがある

わたしのうつつに移り住む沈没船
潮の匂いのなかの異臭
俄かに暴れ出す船の全体
わたしのうつつを根こそぎ持ち去ろうとする邪悪
光のように泳ぎまわる烏賊
夢のなかでも紙の顔の男はわたしを知らないだろう
まさか

紙の顔を皺くちゃにして懇願するでもない
間近でじろじろ見ても
はるかにとおい紙の顔の男
潮に侵されながらただゆらゆら揺れる海草の紙
ただゆらゆら揺れる
軽蔑するように




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