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大洋ボート

夢の穴

寝そべっているのは
ベッドか
鉄道線路か

腹の上には花束
自殺志願者でもないのに
蜂が迷いこんでくる

壁の穴から
蒸気機関車の音が聴こえてくる
耳のなかの赤い点

左腕が効かない
手指だけがもごもごして
右腕は麻痺しているのか

すっぽり切り落とされた霧なのか
顔があげられない
左腕が効かない

花束ではなく
右腕の空洞にとどかせようとはするが
起き上がれない

蒸気機関車が驀進してくる
耳のなかのシグナル
寝そべっているのはベッドか

噴き出す汗の皮膚の砂漠
焦燥の山頂の結晶にはとどかない
どうせ俺なんて……

天井からざわざわ降下してくる星々の花々
無数の腕の幻がさし上げられる
蜂が迷いこんでくる




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泣き顔

泣こうとして
顔を塀に押し着けた

大きな濡れた鰭が
胸腔から耳へ逆流した

わたしは破壊された
わたしは在る

脳味噌の腐った豆腐は
巨岩の尻の重たさ

鬱屈を遣り過ごそうとしたのではなく
ふてくされて四つ角を曲がっただけ

泣こうとして少し泣いた
涙は温かかった

雨が降って来た
一粒一粒は涙よりも冷たかった

その純潔のセルロイド片に憧れるべきだったのか
わたしはただ情けなかった

極彩色のネオンの灯が
大きな鰭とともに塀を舐めつくした

わたしは踏みつぶされた果物になった
痙攣的快感の虜囚になった

他人に見せられない顔に変形した
誰も居なかったにせよ

    14:03 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

夜の裏道

ブロック塀の影絵が
大きく揺らぐ
まるで卑小であったがゆえの
おまえの過去

ひき裂かれたパジャマ服の集団が
花火を次々と揚げる
ひきつった笑い
ざまあみろ!ざまあみろ!と言わんばかりに

喧騒と誘惑と罵倒
豪雨によって再びかき消される
卑小であったがゆえ
おまえの傷痕ともいえない傷痕

逃げ出したものの
松明の燃えかすはなお手放さず
それ以外には獲得したものはなく
それを喪うことを怖れ

口実を探しもとめ
口実に怯え
己よりもわずかに弱い「好敵手」を索める
そんな奴はあらわれず

問い糾す者もなく
松明は実際的にも燃えつき
性懲りもなく意地汚く何度も着火を試みる
おまえのちびた手指のライター

しだいに衰えるなか
生はただただ平穏に無傷に過ぎるらしい
蛾が翔び交う
大きな白い眉の内部の堂々めぐり

両側の家々の門扉は閉ざされている
灯りはちらほら
未練よりも冷たく
これじゃあ現在も未来も同じだ

    14:13 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

沈め薔薇

沈む薔薇
沈むにしたがって少しずつ
浮かし彫りになる船室
顔のない人影が首だけを刃のように光らせ
立っている
虚無の箒
突っ立っている

そこへ行こうと思えば
今すぐにでも行けるが
死にたくはない
罰されたくはない

わたしという実体を告白してみようか
今さらながら告白してみようか
イジメに毛が生えただけの
非力で卑怯で狡猾であった履歴ならば
それをありのまま引き摺っているわたしだ
空気でできた壁という壁になすりつけられている
尖った汗には土がこびりつき草が生え
汗はなお生きながらえ
帽子やら手帳やら……

沈め薔薇
沈んで爆ぜろ!
憧れを籠めて
発見も告白も反抗もできなかった
わたしという実体からやすやすと遊離して
沈め薔薇
沈んで爆ぜろ!

わたしを怯えさせる奴
船室の温かさのなかの歓めく笑い
顔のない人影よ
突っ立っている虚無の箒よ 
人間的な表情をこれ見よがしに湛えられても 
頬笑みを返すな
それは贋物だから
わたしをほんの少し上まわる奴め!

    11:00 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
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