大洋ボート

遁走曲

折られて倒れてもなお
花は咲いている
寝そべりながら
見つめる眸の花弁のその赤

水たまりは青空をうつさず
屋根の下にあって
白濁した光を乱反射する
腐臭もやがて流れだすだろう

レインコートは伏せられて
背骨がむくむくと伸びあがる
無知ゆえに今さらのように顔をだして
岩石のように突きあげる

火の雨がその上に降るというのか
悲痛さをかきたてるのか
鞭打ち刑にやにさがる
手をさしだすことは溺れること?

*
わたしは未来をふりむかず
現在の前方でさえも正視せず
がなりたてる出来合いの言葉で
ただすべてが過ぎ去ってくれることを願う卑怯者
性根にあきれるばかりだが
手のなかの遠方のかぼそい光をうらやむ
垂直の方向には角砂糖
ああ なんて言ったらいいんだろう
もう帰ることはできない
わたしの背骨は入れ替わる瞬時のサーベルに
不退転のナルシズムの豪奢な残影
わたしは身のまわりの品を鞄につめこむ
人々の眼差しがある
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    12:09 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

ゴーストライター

  アメリカの小島の風景が印象的だ。そこは本土からフェリーで渡れる場所にあり、ピアース・ブロスナン演じるイギリス元首相の別荘があるのだが、セキュリティの関係でそういう辺鄙な場所をわざわざ選んだのだろうか。ともわれ、映し出される天候は判で押したようにどんよりした曇り空であり、ときにはだらだらと雨のふりつづく日もあるという偏りようで、憂鬱な気分をもたらす。アメリカの気候を考えれば晴天がまったくないのは不自然で、むしろイギリスの気候にふさわしいのかもしれないが、これが違和感よりも映画のもたらす空気感にぴったりした感覚をあたえてくれて好ましい。
  そこへ出版社の依頼を受けて訪問するのがユアン・マクレガーで、元首相の自叙伝執筆とその取材のためだった。つまりはマクレガーは元首相のゴーストライターの役割を負っているのだ。ユアン・マクレガーという俳優は真顔でも微笑をたたえているような顔つきで、これが山師っぽい役の性格にふさわしい。というのも高額報酬につられて依頼を引き受けるのだが、その直後に暴漢に襲撃されて無関係な原稿を強奪される。さらには一番目の自叙伝執筆者である元首相の補佐官が変死していることも映画の冒頭であきらかにされる。危険をともなう仕事であることが示唆されるのだが、マクレガーは度胸を秘めて、ちょっとのんびりした空気をただよわせて小島に乗り込んでいく。
  映画はサスペンス仕立てだから、ピアース・ブロスナンへのインタビュウや補佐官の残した原稿などから元首相周辺から不可解さが浮かびあがる。さらには現イギリス政府やマスコミが、元首相の政権担当時のアラブ「テロリスト」にたいする扱いをめぐって非難と法的追及の姿勢をはじめる。ユアン・マクレガーは真相究明にも乗りだすものの、やはり無難な自叙伝を完成させて報酬をえるという当初の目的も魅力的で捨てることなく、その二つを同時に追い求めていく。こうみていくとなかなか複雑だが、前半の流れはかなりスムーズな印象を受けた。
  ピアース・ブロスナンは一見、女好きでスポーツ好きで政治家には不向きな政治家として自他共に認める存在だが、それは彼の地であるとともに隠れ蓑でもある。下手な芝居をしてマクレガーに見破られそうなところなど巧い。それにブロスナンの妻のオリヴィア・ウィリアムズも一見して複雑だ。知識豊富な女性秘書が別荘に同居していて、なにかとブロスナンの世話をするものだから自分の出番がない、嫉妬にもかられるだろう。映画の最後には、彼女の抱えこんだ闇が嫉妬にとどまらない大きなものであることがあきらかになる。
  政府首脳がひたかくす超大国とのアンダーグラウンドな結びつきとは使い古された題材であり、その点では新鮮味はない。とくに元首相周辺の「えらいさん」をマクレガーが訪ねていくくだりなどちょっと眠くなった。(緊張がいっそう冴え渡った人もいるだろう)だがロマン・ポランスキー監督以下の作者はさすがに包丁裁きがちがうなという印象もえた。また同じポランスキー監督のかつての名作『チャイナタウン』もごく自然に思い出された。
★★★★
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ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ 他

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    13:54 | Trackback : 2 | Comment : 0 | Top

落日

夕陽が落ちる
真昼だというのに

汚れてしまったなあ
先刻承知だったが
忘れるすべを放擲したので
毛穴という毛穴から
体液が噴出してズブ濡れになった

咽喉の奥の天空では
夕陽が塩にもまれて痛い
わたしも日焼けて痛い

現役を終えた列車
死ぬかもしれなかったが死ななかった
それが運命だとしても
遺書を書いておかなければ
落書きだとしても

汚れてしまったなあ
ひきかえに手に入れられる観念の帽子を
渇望しなくなったので
空想の翼だけが馬の首のようにかさばる

愛人をつくらなければならない
慰めてもらいたい気持ちがつのる
夕陽が落ちる
真昼だというのに
    21:17 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
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