夜の街で

灯りの色の混じる夜
人通りの多い橋を渡り終え
さらにつづく下り坂をせかされるように歩くと
流れをさえぎるようにあの女
十年以上前には頻繁にあっていたあの女が
誰かを待ち受けるように
人の流れをさえぎって流れの中に立っていた

女の目はあやしく見開かれた
私を発見したことによって見開かれるのを
私はうごきかけた追慕の情とともに見守った
女の腕が何らかの動作をしたのかわからない
鞄の中から何かを取り出そうとしてあわてて途中でやめたのか
鞄などは持っていなかったが

急に女の目は私のうしろから近づきつつあった存在に移った
夜目にも青年とわかるその人の腕をさわると
女は安心したようにその人を連れて行った
窓灯りがちらほら無秩序に点る
向こう岸にそびえるような大きなマンションの
こちらには斜めに背を向けたエントランスに消えた
もはや私のことなど忘れ去ったのだろう
安心して忘れ去ったのだろう
21:33 | 自作詩 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑