初冬

剛毛の尻
あさく窪んだ岩陰がおれの棲家
灰白色の卵がぶっかけられて
だれも手をつけないので
濡れるにまかせる
薄が風に揺れる

おれの妄想にも似た世界地図
世界をほとんど蔽い尽くそうとする端から
鋏がジョキジョキ
初冬はつらい
鋼鉄の背鰭

小山と小山のあいだの海
夕かたまけて
船団の灯りはすべてピンク色に染まり
夜になると
深紅にかがやく密室

生誕の秘密を知っているというのかおれは
それでは死をも?
おれがここで今さら血を見せびらかすこともない
瓦でもガラスでも割ることはできるが
あさく窪んだ岩陰は皮膚の裏側

剛毛の尻
すべりやすい表面で卵は育ち
部分的には死滅する
恫喝のラッパが駆け回るが
おれは母ではない
薄が風に揺れる



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