大洋ボート

夏に聴く

ISLAND MUSICISLAND MUSIC
(1990/10/15)
細野晴臣

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パシフィック・ガーデン夏企画「PACIFIC GARDEN SUMMER COLLECTION」パシフィック・ガーデン夏企画「PACIFIC GARDEN SUMMER COLLECTION」
(2001/06/21)
オムニバスStella Mirus

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  お盆休みも終わって仕事となったが、相変わらず猛暑がつづく。仕事はなんとかこなしているが気力が減退していることは確かなようだ。そんな2、3週間であるが、涼しげな音楽を聴きたくなった。それもインストといわれる歌詞のない曲が聴きたくなって、かなり前に購入したCDを引っ張り出してきた。CDはそれほど手持ちがないので、思い当たる曲といえばこれしかない。細野晴臣作・編曲の「最後の楽園」。おそらく10年以上前に購入したもので、かつ当時の新作ではなくレコードしかなかった時代のCDによる復刻版である。しかし今聴いても電子オルガンと呼ぶのかが、新鮮な音を響かせてくれる。ちょっと幽霊屋敷を思わせる音色でその点が涼しげなのだが、無論それだけではなく、南の島へのあこがれも十分に喚起してくれる。人は涼しさを求めて何故わざわざ熱帯の島を思い浮かべるのか、気温の低い場所ならもっと適当な場所があるはずなのだがと考えてみたが、答えをもとめるのが面倒臭い。
  この「アイランド・ミュージック」というアルバムだが、冒頭に収められた細野さんの曲以外には、私の偏見であることは承知のうえだが、残念ながら心にひっかかる曲がない。私のCDアルバムの聴き方は最初の30秒か、一分くらい聴いてつまらないと感じたら即座に次にスキップしてしまうので、その乱暴さも影響するのかもしれない。
  もう1曲は加藤達雄という人の作・編曲の「モーニング・デュー」。特に涼しげというわけではなく、かえって暑さを感じさせる曲だが比較的気に入っていて、ときどき聴くことがある。この曲が最近なにかのコマーシャルで使われているのを聴いて嬉しくなった。これも新しいアルバムではないのだが。それにこのアルバムも冒頭の加藤さんの曲以外には強い魅力は感じられない。嫌味ったらしいが。というわけで、「涼しげ」なインストゥールメンタル鑑賞の時間はあっという間に終わってしまう。
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ほほにかかる涙

カンツォーネ~イタリアン・ポップス・ベスト・セレクションカンツォーネ~イタリアン・ポップス・ベスト・セレクション
(1996/11/21)
オムニバスオルネラ・バノーニ

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 歌手のフランク永井さんが先日亡くなられた。フランクさんの歌声も好きだったが、一九六〇年代前半フランクさん同様ラジオで聴いて印象に残った歌曲のことも思い出した。そこでさっそく購入したのが、このコムピュレーション・アルバム。おめあては題名のボビー・ソロの「ほほにかかる涙」である。

 甘い歌声が記憶に刻まれたが、そのほかに外国のレコードの音の素晴らしさにも魅了された。楽器の音色、それに自由にエコーをかけることができる録音技術等、当時はまだまだ日本の音楽業界は遅れていたようだ。

 「ほほにかかる涙」はラジカセで聴くのがふさわしい。記憶に残っている音色に近いからだ。最初DVD再生機(5.1チャンネル)にかけてみたが、音がやわらかく且つ分散してまるで「再生」にはほど遠かった。つまり私にとって「いい音」ではなかった。音源によっては安物の再生機にかけたほうが、より「いい音」を聴けることがわかった。こういうことは音楽評論家も書いているだろう。

 収録曲十八曲をひととおり聴いたが、「ほほにかかる涙」以外にはさして印象に残らなかった。ウィルマ・ゴイク「花のささやき」も覚えている。本人よりも日本でカバーした倍賞知恵子の歌声によって。ボビー・ソロはもう一曲「涙のさだめ」が入っているが、声質がわずかに変わってしまったことで、私にとっては魅力がなかった。全部の曲がヒットした模様だが、大量生産される歌の運命で、すべての曲がファンの心にながく残るものではない、多くは忘れ去られる。そんなことも思った。
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世界地図2008年版

今がわかる時代がわかる世界地図 2008年版 (2008) (SEIBIDO MOOK) (SEIBIDO MOOK)今がわかる時代がわかる世界地図 2008年版 (2008) (SEIBIDO MOOK) (SEIBIDO MOOK)
(2007/12/12)
成美堂出版編集部

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 さまざまな統計データが併録されている地図帳。というよりも前者のほうが3分の2ほどの分量を占めている。興味をひかれたところをとりあげてみたい。国民一人あたりの食材別摂取量ランキングが意外でおもしろい。(ここでの調査結果はすべて2005年のもの)

1位、ボスニア・ヘルツェゴビナ 7,2kg
2位、ハンガリー 6,3kg 
3位、ジャマイカ 4,9kg
4位、マレーシア 2,3kg
5位、ドミニカ  2,0kg

65位、日本 0,1kg


 これは唐辛子の項目で、数字は一人当たりの年間消費量を示している。食文化という言葉があるように、その国の食の傾向は伝統や習慣にもとづいている。 地理的条件の制約もあり、国民の貧富の水準も関係してくる。しかしここにあげられた国名は、全く予想もできなかった。旧ユーゴ紛争の舞台となったボスニア・ヘルツェゴビナであるが、その食文化については私の知るところではない。背景説明が何も書かれていないのが残念だが、他の項目でも同じように省略が多い。

 唐辛子の世界最大の生産国はインドで、世界シェアの42,8%を占めるが、インドはこのランキングの5位以内には入っていない。カレー好きのインド人のことだから入っていてもよさそうなものなのに。「インド人もびっくり」というところか。コショウについても同じような傾向となる。

1位、ドミニカ 9,1kg
2位、ボスニア・ヘルツェゴビナ 7.2kg
3位、ハンガリー 6,9kg
4位、ジャマイカ 5,7kg
5位、ネパール 4,4kg

35位、日本 1,2kg
(生産国のシェア1位、インド 47,1%



 つぎは肉類。欧米人(南米に移住した人もふくむ)が特に好むとされるが、肉類全般の数字はルクセンブルクがもっとも高い。

1位、ルクセンブルク 137,2kg
2位、イスラエル 100,1kg
3位、チリ 94,0kg
4位、アメリカ 93,7kg
世界平均、39,5kg

80位、日本 34,8kg


 肉類ではアメリカやドイツがトップかとも思ったが、そうではなかった。ルクセンブルクは豊かな国である。それも関係するだろう。別のページの項目では、国民一人当たりの「富」(預貯金+不動産-負債)で世界4位となっている。ちなみに日本は「富」の項目では1位。ほんとかいな。それにしても日本人の肉の摂取量は少ない。いや、それは健康のためにもいい傾向だと思う。さらに肉類のうち牛肉だけにしぼると「1位、アルゼンチン 52,1kg 2位、ルクセンブルク 46,9kg 3位、チリ 41,1kg (世界平均、9,7kg) 80位、日本 34,8kg」となる。豚肉ではハムとソーセージの国ドイツがやっと出てくる。「1位、ドイツ 47,5kg 2位、ポーランド 44,2kg 3位、ルクセンブルク 44,0kg 4位、オーストリア41,6kg (世界平均、9,5kg) 45位、日本 13,0kg」となる。ルクセンブルクの人はよく肉を食うらしい。(ルクセンブルクはコーヒーとミルクの項目でもそれぞれ1位になっている。「へえ!」だ。)また鶏肉は宗教戒律による制限が少ないためにクウェート、イスラエル、という国が1,2位を占めている。3位のセント・ビンセント・グレナディーン諸島とは、私は聞いたことのない国名だったが、西インド諸島の南東部に位置する島国である。羊・山羊肉となるとこれは予想を大きくはたがえない。同じく数字は省略するが、1位から順番に「モンゴル、ニュージーランド、アイスランド、トルクメニスタン、フィジー」である。5位のフィジーは意外だ。

 次に根菜類をのぞく野菜類。これも1位に意外な国名が出てくる。
 

1位、ギリシャ 294,5kg
2位、中国 292,4kg
3位、韓国 253,6kg
4位、アルバニア 230、おkg
5位、ルーマニア224,2kg

38位、日本 130,7kg
世界平均、90,0kg


 根菜類のイモ、ニンジンなどを加えるとデータはちがったものになるだろう。それも見てみたいと思うが、それにしても日本人が案外野菜を食していないことがデータ上浮かびあがって、すこし驚く。同じアジアの中国人、韓国人と比べてその摂取量が約半分とは。肉や野菜、また穀類において、日本人は小食のようである。ただこれは世界的データ上のことで、私個人は食べすぎの傾向があると自覚している。量的平均値からよりも健康面からの考慮によって。

 それでは日本人が世界平均を上まわって食しているものがあるかというと、これがある。卵と魚介類である。卵では

1位、デンマーク 20,1kg
2位、日本 18,7kg
3位、中国 18,3kg
4位、オランダ 17,1kg
5位、メキシコ 16,3kg
(世界平均、6,2kg)


 へえ、日本人は世界平均の3倍もの卵をたべているんですねえ。鶏肉の摂取量は世界平均とほぼ同じレベルの14,8kgだから頑張ってというか、卵が安いから大量に口に入れているんだ。まあ、だからこういう鶏肉と卵の摂取量のアンバランスから推測すると、卵を産んだ鶏が食されずにかなりの量が廃棄処分されることになるのか……。次に魚介類であるが、これは典型的なまでに島国の名が並んでいる。数字は省略して1位からあげると「モルディブ、アイスランド、キリバス(太平洋上)、日本、セーシェル」となる。

 最後に穀物類。一人当たりの消費量(摂取量)となると、これも予想を裏切る。生産量や輸出・輸入量とは必ずしもスライドしないようだ。米では

1位、ミャンマー 361,8kg
2位、ベトナム 278,0kg
3位、カンボジア 254,5kg
4位、バングラデシュ228,2kg
5位、インドネシア 200,1kg

23位、日本 95,9kg
(世界平均、42,3kg)


 小麦では1位から順に(数字省略)「トルクメニスタン、チュニジア、アゼルバイジャン、アルジェリア、キルギス」となる。新興国や貧国が並ぶ。経済水準が低くても、特定の食材は豊富にある、そのかわり高価な食材には手が出せず、バランスのよい食生活が望みえない、ということになるのだろうか。
    22:27 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

森恒夫『銃撃戦と粛清』(10)

(前略)寺岡君の″革命戦士になりたかった″という最後の言葉や山崎君の何度も胸にナイフを突き立てられてからの″早く殺してくれ″という言葉が、我々が、自らの命を賭けて革命戦士になり切るんだ、と語ったあの革命戦争を主導する革命戦士の真に自己犠牲的な謙虚なプロレタリア的誠実さ秘めた言葉であることを考えると、私は自己の誤りの全く非プロレタリア的なごうまんな姿を改めて自己批判せざるをえない。我々の誤った指導と苛酷な暴力の中で、これらの同志が革命戦士になり切ることを自己の使命として持ちつづけ考えられない程厳しい肉体的な苦痛に耐え抜き死んでいった事は文字通り真の革命戦士としての彼らの姿をはっきりと示している。(p83)


 森恒夫は革命のマインドコントロールが解けないまま死んでいった。そのために手のひらを返したように寺岡と山崎に対して「真の革命戦士」だったと言い換えている。痛恨の謝罪と自己批判を込めるためには、当時の彼としてはこういうたむけの言葉しか吐けなかったということは、わからないではないが、あまりにも安易に過ぎる気がする。他の死者に対しても「革命戦士になれずに敗北死した」から「革命戦士になろうとしていた」と一様に言い換えている。革命戦士になんかなりたくなかったんだ、死者は何を置いても生還したかったんだ、とは何故言えないのだろうか。生き永らえていればともかく、この時点では、まだまだ森は参加者の心情を汲み取ることができていない。

 それに革命戦士なるものの明確な像が、ついに森の口から語られることはない。どんな暴力にもびくともしない鋼鉄の肉体と、もしイメージされたとしても誰もなりきることは不可能だし、ついに不明確なまま至上物に祭り上げられて「革命戦士になりきるんだ」という悲愴で狂気じみた決意を参加者全員に強要したのである。革命戦士像が明確でなければ、それを目標とした「共産主義化」も短期であれ長期であれ破綻せざるをえないのではないか。また、逃亡者や脱落者は出るに決まっている。それを一名たりとも許すまいとしたところにもヒステリックで未熟な完璧主義といったものを見ずにはいられない。

 今日において森恒夫を批判することは容易である。また私は安全な場所にもいる。だが連合赤軍の出来事は昔日の私にかさなっている。黒を白と言いくるめたり、情熱さえあれば多少のいい加減さは許されるという、高校生活動家としての当時の私の浮薄や欺瞞は今でも後ろめたいものだ。勢いあまって暴力を不当に振るったこともある。私のなかのそういうものを、想像を超える規模で拡大再生産されたものがあの出来事だったという見方から、私はどうしても自由になれない。だからこの批判は、過去の私への批判にも通じている。批判はしなければ、忘れるまでは、うしろめたさや羞恥心はずっと記憶の中に居座りつづけるものだ。もっともこの一文だけでそれを成しとげられたとは言わないが。
(了)
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