01 /20
2019
泣こうとして
顔を塀に押し着けた
大きな濡れた鰭が
胸腔から耳へ逆流した
わたしは破壊された
わたしは在る
脳味噌の腐った豆腐は
巨岩の尻の重たさ
鬱屈を遣り過ごそうとしたのではなく
ふてくされて四つ角を曲がっただけ
泣こうとして少し泣いた
涙は温かかった
雨が降って来た
一粒一粒は涙よりも冷たかった
その純潔のセルロイド片に憧れるべきだったのか
わたしはただ情けなかった
極彩色のネオンの灯が
大きな鰭とともに塀を舐めつくした
わたしは踏みつぶされた果物になった
痙攣的快感の虜囚になった
他人に見せられない顔に変形した
誰も居なかったにせよ
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